地方銀行を取り巻く環境が激変する中で、山形銀行が非常に興味深い一手を打ち出しました。同行は2020年1月15日、かつて中途退職した元行員を再び迎え入れる「ジョブリターン制度」を新しく導入すると発表したのです。これまでも育児や介護といったやむを得ない事情による復帰制度は存在しましたが、今回はなんと「他社への転職によるキャリアアップ」を選んだ人材も対象に含めるという、先進的な試みとなっています。
この画期的な新制度は、2020年2月1日からいよいよスタートする予定です。利用するための条件は、山形銀行での勤務実績が3年以上あり、かつ退職してから7年以内であることと定められました。原則として退職した理由は不問とされ、年間を通じていつでも応募が可能です。これに伴い、従来の育児・介護向けの再雇用制度は廃止され、今回の新制度へと一本化される方針が示されています。主に30歳前後で離職した若い世代の呼び戻しを狙っているようです。
ネット上のSNSでもこのニュースは話題を呼んでおり、「一度外に出た人間を温かく迎える姿勢は素晴らしい」「他業界の視点を持った人が戻ることで、組織が活性化しそう」といったポジティブな反響が数多く見られます。中には「出戻りは気まずいのでは」という懸念の声もありますが、銀行側が公式に制度として明文化したことにより、心理的なハードルは格段に下がるのではないでしょうか。
特筆すべきは、出戻り時の「破格の処遇」にあります。外部の企業で培った経験や専門スキル(いわゆる知見やノウハウ)が極めて高く評価された場合、なんと当時の一期生や同期トップの行員と同等のポジションで迎え入れられる仕組みです。単なる「人手不足の穴埋め」ではなく、外部で磨かれた能力を即戦力としてリスペクトする姿勢が、この条件からも強く伝わってきます。
山形銀行の人事総務部によると、過去3年間で15人の中途採用実績があるものの、最近では30歳前後の若手行員の退職が増加傾向にあるといいます。担当者は「退職後にまた当行へ戻りたいと考えている人材もいると耳にしている。制度を明確にすることで、新天地で得た貴重な経験をぜひ還元してほしい」と、期待を寄せています。
筆者は、この取り組みがこれからの地方金融機関における生き残り戦略のモデルケースになると確信しています。これまでの銀行業界は、新卒から生え抜きを育てる「終身雇用」の文化が根強く残っていました。しかし、デジタルトランスフォーメーション(IT技術による業務変革)が急速に進む現代において、異業種の最前線を見てきた元行員の存在は、組織に新しい風を吹き込む最強のカンフル剤になるはずです。
一度は外の世界へ飛び出した優秀なタレントが、再び地元や古巣のために牙を剥く。こうしたダイナミックな人材流動こそが、硬直化しがちな地方経済をアップデートしていく原動力になるでしょう。山形銀行の果敢な挑戦が、今後どのような成果を結ぶのか、これからの展開が本当に楽しみでなりません。
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