戦後初の大都市直下型地震となった阪神大震災の発生から、2020年1月17日で25年という節目を迎えます。甚大な被害を出した悲劇を契機に、実は多くの革新的な企業やビジネスが誕生しているのをご存知でしょうか。震災の教訓を未来へつなぎ、国内外の復興に役立てようとする熱い挑戦が今も脈々と続いています。SNS上でも「風化させてはいけない」「当時の経験が生きた製品は本当に心強い」といった感動や共感の声が多数寄せられており、人々の防災への意識は年々高まりを見せているようです。
大阪府箕面市のクモノスコーポレーションは、まさにこの震災をきっかけに産声を上げました。同社を率いる中庭和秀社長は、災害が起きれば決して依頼を断らずにすぐ現地へ駆けつけるという強い信念を抱いています。海外から最先端の「3次元レーザースキャナー」をいち早く導入したことで、同社は飛躍的な成長を遂げました。これは対象物にレーザー光を照射して瞬時に立体的な形をデータ化する精密な測量技術のことで、建物の崩落危険度などを安全かつ迅速に把握するために欠かせない最新技術です。
同社はこの技術を応用し、構造物の1ミリに満たない微細なひび割れを100メートル先から正確に計測できる独自のシステムを開発しました。2004年10月23日の新潟県中越地震や、2011年3月11日の東日本大震災でも迅速に現地入りして活躍しています。さらに2015年のネパール地震では、設計図が失われた寺院の復旧プロジェクトを支援しました。現在では125人の従業員のうち15人の外国人スタッフが在籍しており、世界中の事故予防や復興にその優れた技術を役立てようと奮闘中です。
一方、防災用品を展開する神戸市のエム・ティー・ネットは、被災時のリアルな声を形にした商品開発で注目を集めています。同社が手がける非常用工具セット「MTレスキューキット」は、最大2トンの重量を持ち上げられる油圧ジャッキなど、救助に直結する22種類もの道具を凝縮した逸品です。水島徹朗社長は、長田区で木造家屋が倒壊した際に「道具さえあれば救えた命があった」という切実な声を聞き、開発を決意しました。まさに現場の教訓から生まれた命を救うためのツールと言えます。
さらに同社は、災害時の通信混乱でネットがつながらない事態を想定した「多機能防災ラジオライト」を2019年秋に発売しました。こちらは緊急地震速報を感知すると自動でラジオ放送が流れる仕組みで、企業や自治会を中心にすでに6000個を売り上げる大ヒットを記録しています。このように、単に多機能なだけでなく「いざという瞬間に本当に動くか」という被災地ならではの視点が盛り込まれた製品は、現代を生きる私たちにとって非常に信頼性が高く、心強い味方になってくれるでしょう。
同じく神戸市に拠点を置く神戸デジタル・ラボも、震災直後の1995年10月に設立されたIT企業です。永吉一郎社長は、大災害の中でも業務を維持するためには情報技術によるネットワーク構築が不可欠だと痛感し、起業を決意しました。2019年10月からは、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の活用支援事業をさらに強化しています。これは身の回りの家電や工場の機械がネット連携して便利になる仕組みのことで、同社は中小企業や農業の現場を支えています。
また、近年脅威を増しているウェブサイトやスマートフォンへの不正アクセスを防ぐため、システムの弱点を探る「脆弱性診断サービス」も提供中です。その確かな実績が評価され、2017年度以降は兵庫県警の警察官がサイバー犯罪への対処能力を磨くための研修先にも選ばれています。悲劇をただの悲しみに終わらせず、社会をより安全にするためのビジネスへと昇華させた企業たちの歩みは、これからの防災大国・日本を支える大きな希望の光となるに違いありません。
コメント