第三のビールが市場の4割突破!キリン「本麒麟」とサントリー「金麦」が大躍進を遂げた2019年ビール系飲料シェア激変の舞台裏

ビールメーカー各社が発表した2019年のビール系飲料の販売実績において、キリンビールとサントリービールが前年を上回る好調ぶりを見せました。今回の明暗を分けた最大の要因は、圧倒的な存在感を放つ「第三のビール」の躍進にあります。節約志向の高まりを背景に、驚くべきことに市場全体の4割を初めて突破したのです。SNS上でも「安くて美味しいなら文句なし」「家飲みの強い味方」といった絶賛の声が溢れており、消費者の生活に完全に定着している様子が伺えます。

ビール系飲料の市場全体は15年連続で減少しており、主力のビールや発泡酒は厳しい苦戦を強いられています。ここで専門用語の解説ですが、第三のビールとは「その他の発泡性酒類」などに分類される麦芽比率の低い、または麦以外の原料を使った低価格なアルコール飲料のことです。このジャンルで、まるで本物のビールのようだと感じさせる「本格志向」を追求した戦略が、見事にファンの心を掴みました。キリンの「本麒麟」やサントリーの「金麦〈ゴールド・ラガー〉」がその代表例です。

キリンは全体の販売量を前年比0.3%増の1億3550万ケースに伸ばしました。定番の「のどごし」ブランドは10%減と落ち込んだものの、圧倒的なコクで話題を呼んだ「本麒麟」が61%増の1510万ケースという驚異的な大爆発を記録して全体を力強く牽引しています。家計に優しく、なおかつ満足感も得られるクオリティの高さが、現代の世相に完璧にマッチした結果と言えるでしょう。

一方のサントリーも全体の販売量を1%増加させ、大健闘を見せています。主力である「金麦」ブランドが11%増の3847万ケースを記録し、なんと第三のビールのブランド別販売量で初めて首位の座へと上り詰めました。2019年2月に投入された新商品が737万ケースを叩き出したことで、一気に王座を奪い取った形です。ネット上でも「金麦のコクが一段と進化した」と大きな話題を呼んでおり、ブランドの勢いは止まりません。

対照的に、アサヒビールは3.5%減の1億14196万ケースと苦境に立たされています。2019年1月発売の「極上〈キレ味〉」がヒットして第三のビール自体は微増したものの、全体の6割を占める大看板「スーパードライ」が5%減となり、7年連続のマイナスを補いきれませんでした。看板商品への依存度が高い分、市場のトレンド転換の波をまともに受けてしまった印象を受けます。今後はビール1強からの脱却が急務になるでしょう。

サッポロビールも2.6%減少の4347万ケースと元気がありません。「麦とホップ」を2019年8月にリニューアルして巻き返しを図りましたが、前半の落ち込みを取り戻せませんでした。北海道限定の「クラシック」が好調でビール部門は前年を維持したものの、第三のビールの減速が全体の足を引っ張っています。アサヒとサッポロにとっては、実力派の競合商品にシェアを奪われた手痛い結果となりました。

2020年は各社の戦略がさらに激化していく見通しです。アサヒは3月に強力な新商品を投入する予定ですし、サッポロも2月に「GOLD STAR」を発売して反撃の狼煙を上げます。何より2020年10月には酒税改正による第三のビールの値上げが控えているため、9月までの駆け込み需要をどれだけ獲得できるかが勝負の分かれ目となります。変化する市場でどのメーカーが覇権を握るのか、今後の動向から目が離せません。

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