オフィス用品の通販「たのめーる」でお馴染みの大塚商会が、驚異的な進化を遂げています。なんと従業員1人あたりの営業利益が、過去10年間で3倍にまで膨らんでいるのです。この生産性の伸び率は、情報システム業界の並み居る大手を抑えて堂々の首位に輝きました。ネット上でも「中小企業の味方だと思っていたら、いつの間にか超高収益企業になっていて驚いた」「たのめーるの営業力は伊達じゃない」と、大きな反響を呼んでいます。
同社が足元で熱烈に強化しているのが、「クロスセル」と呼ばれる営業手法になります。これは1つの取引先に対して、オフィス用品からITシステムまで、多種多様な商材を組み合わせて提案する戦略です。これまでは単純な利益の追求に走りがちでしたが、2018年12月期の中盤からは方針を大きく転換しました。顧客1社あたりの売上高をじっくりと増やす方向へ舵を切り、地方の現場にも提案の権限を大胆に委譲したことが功を奏したのでしょう。
具体的な数字を見ると、その成果は一目瞭然と言えます。複写機を導入している10万社におよぶ顧客を対象とした調査では、1社あたりに販売した商材数が2019年7月から2019年9月までの期間に「4.24」を記録しました。前年の同時期と比べて0.05ポイント増加しており、これは実質的に5000社もの顧客が新しい商材をもう1つ追加で購入した計算になります。地道な提案が確実に実を結んでいる証拠ではないでしょうか。
業界内では企業の合併や買収(M&A)によって規模を拡大する手法が流行していますが、大塚商会は一線を画しています。「異なる文化を取り入れるのはリスクが伴う」という冷徹な判断のもと、既存の経営資源を徹底的に活かす効率主義を貫いているのです。私個人の見解としても、激変するIT業界において無理な拡大をせず、自社の強みを深掘りする戦略は非常に賢明であり、日本企業が見習うべき究極の省力化モデルだと感じます。
実際の業績も驚くほど絶好調を維持しています。2019年12月期の連結営業利益の会社予想は、前の期と比べて16%増となる558億円に達する見込みです。これにより、7期連続で過去最高益を塗り替えるのはほぼ確実と見られています。米マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ7」のサポート終了に伴うパソコンの買い替え特需という追い風もありましたが、それをしっかりと業績に繋げる営業基盤の強さは本物です。
もちろん、順風満帆な状況ばかりではございません。2019年の株価上昇率は45%という高い数字を記録したものの、ライバルである野村総合研究所やオービックの7割強という伸びに比べると、やや見劣りするのも事実です。特需が落ち着いた後の反動減を、得意のクロスセルでどこまでカバーできるかが、これからの株価を占う最大の焦点になります。同社の今後の仕掛けから、ますます目が離せそうにありません。
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