ビジネス書の要約サービスとして圧倒的な支持を集める「フライヤー」。そのトップを務める大賀康史最高経営責任者(CEO)の原点は、意外にも高校時代に読み耽った歴史小説にありました。東京都立西高等学校で過ごした日々が、現在の敏腕経営者としての礎を築いたのです。ネット上でも「武将の決断力は現代のビジネスにこそ必要」「理想の掲げ方にシビれる」と、大きな反響を呼んでいます。
大賀さんは高校時代、限られたルールの組み合わせで答えを導き出す数学や物理に魅了されていました。物事の本質を捉えて、美しく抽象化する思考プロセスに快感を覚えていたと振り返ります。高校3年生の夏までは野球一筋の生活を送っていたため、受験勉強はとにかく効率を重視しました。暗記中心の科目は苦手だったそうですが、このときに培った論理的思考力が、後のキャリアに大きな影響を与えることになります。
記憶力を求められる歴史の暗記には苦労した大賀さんですが、戦国武将たちの生き様には強く惹きつけられました。生死を分ける戦場で、攻めるべきか退くべきかを瞬時に判断する武将たちの決断力。これこそが、目まぐるしく変化する現代のビジネスシーンにおける「起業」のお手本になったのです。激動の時代を生き抜くリーダーの覚悟は、400年以上の時を超えて現代の経営トップの胸に深く刻まれています。
大賀さんが感銘を受けたエピソードの1つが、毛利元就の逸話です。家臣が「安芸の国(現在の広島県西部)の領主になれますように」と願うと、元就はそれをたしなめました。「天下を目指してようやく中国地方が手に入るものだ。最初から目標を低くしては、安芸すら取れない」という教えです。また、織田信長も早い段階から「天下布武」を掲げていました。まずは高い理想を掲げて先を見据えることの重要性を、大賀さんは武将たちから学んだのです。
大学卒業後、大賀さんはコンサルティング会社へと進みます。それはまさに、戦国時代でいう「軍師(組織の戦略を立てて主君を支える役職)」のような役割に魅力を感じたからでした。経営科学を駆使しながら、その瞬間における「最善手」をロジカルに考え抜く作業は、自身の肌にとても合っていたと言います。この時期に様々な業界の裏側に触れた経験が、現在の起業マインドをさらに強固なものへと昇華させました。
「今挑戦しなければ、死ぬときに絶対後悔する」。そんな熱い想いに突き動かされ、大賀さんは安定したコンサルタントの地位を捨てて起業に踏み切りました。現在は本の要約を届けるだけでなく、読書を通じた新たなコミュニケーションの可能性を模索しています。同じ本を読んだという共通体験を軸に、人々が深く繋がり合える世界規模のコミュニティを作ること。戦国武将のように高い理想を掲げた大賀さんの挑戦は、これからも続いていくでしょう。
現代のビジネス界は、まさに形を変えた「令和の戦国時代」と言えます。大賀氏のように、一見するとビジネスとは無関係に思える歴史や学問から本質を見出し、自らの戦略に落とし込む姿勢こそが、これからの時代を生き抜くリーダーに求められる資質ではないでしょうか。高い志を持ち、瞬時の決断を恐れない姿勢を、私たちも日々の仕事の中で意識していきたいものです。
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