日産自動車の元会長であるカルロス・ゴーン被告がレバノンへ逃亡したニュースは、世界中に大きな衝撃を与えています。2020年01月06日現在、この前代未聞の逃亡劇が、すでに混迷を極めているレバノン国内の情勢をさらに悪化させるのではないかと懸念されているのです。現地では経済低迷に対する大規模な反政府デモが続いており、今回の騒動が政府への不信感に完全に火をつけてしまいました。
ソーシャルメディア上でもこの話題は瞬く間に拡散され、「映画のような脱出劇だ」と面白がる声がある一方で、「国際法を無視した犯罪行為だ」といった厳しい批判が殺到しています。特にレバノン政府が逃亡に関与したのではないかという疑惑に対して、国内外から冷ややかな視線が注がれているのが現状でしょう。富と権力を使った特別扱いではないかという疑問が、ネット上でも渦巻いています。
実際の首都ベイルートでは、英雄の帰還を喜ぶどころか、激しい怒りの声が沸き起こっているようです。反政府デモに参加する現地の若者たちは、元会長を特権階級による腐敗の象徴だと激しく非難しています。レバノンでは2019年10月中旬からデモが続いており、同月末には首相が辞任する事態にまで発展しました。2カ月以上が経過した現在も新しい内閣が発足しておらず、政治の空白が続いています。
国民の怒りの根底にあるのは、若者の失業率が3割を超えるという極めて深刻な経済の低迷と、政治家たちの汚職に対する不満です。デモによる混乱のせいで銀行からの現金引き出しが厳しく制限され、庶民が日々の生活に困窮している中、巨額の資金流用疑惑を持たれた元会長がレバノンで優雅に過ごす姿は、到底受け入れられるものではないでしょう。政府への不信感は強まる一方です。
大統領が元会長の入国直後に面会したという噂もあり、政府が便宜を図ったという疑惑は現地で根強く信じられています。この状況はレバノンが国際社会から孤立するリスクを高めており、債務不履行、つまり国家が借金を返済できなくなる経済破綻の危機を回避するための国際援助さえも、受けられなくなる危険性をはらんでいます。経済閣僚経験者によれば、必要な支援額は最大で250億ドルに上る見通しです。
中東地域の緊張も高まる中、レバノンにはこれ以上のトラブルを抱える余裕などないはずです。個人的な意見として、法の手を逃れた一人の実業家を受け入れる対価として、国全体の信用や国民の生活を危険にさらす政府の姿勢には強い疑問を感じざるを得ません。この逃亡劇がレバノン国民の苦しみをさらに深める引き金にならないことを、切に願うばかりです。
コメント