足元では個人投資家の資金が新興株市場を大きく押し上げています。2020年1月20日の取引において、日経ジャスダック平均株価は続伸を記録しました。これは2018年6月18日以来、実に1年7カ月ぶりの高値水準となります。さらに東証マザーズ指数も5営業日ぶりに反発へと転じました。このように新興株市場が活況を呈している背景には、東京証券取引所第1部に上場する主要な主力株が全体的に伸び悩んでいる現状が挙げられるでしょう。
主力株は、中東情勢をはじめとする海外発のバッドニュースに振り回されやすい傾向にあります。そのため、比較的値動きの軽い新興株を消去法的に選ぶ動きが、個人投資家の間で急速に広がっている模様です。SNS上でも「大型株が重いから、今はジャスダックやマザーズの方が値幅を狙えて面白い」「地政学リスクを避けて資金が流れている」といった声が目立っています。多くの市場参加者がこのトレンドに注目していることが伺えますね。
一方で、この日の新興市場は、市場全体を強力に引っ張る明確な主役銘柄が見当たらない展開でした。これまで市場を牽引してきたワークマンは小幅に値を下げ、時価総額の大きい日本マクドナルドホールディングスも横ばいで取引を終えています。時価総額とは企業の価値を測る指標のことで、株価に発行済株式数を掛け算して算出されます。これが大きい企業ほど、市場での影響力が強いとされていますが、今回はこれらの大物が静かな動きを見せました。
主力銘柄が足踏みをする中でも、日経ジャスダック平均株価は前週末比17円81銭高い3938円39銭で終了しています。上昇率は0.45%となり、日経平均株価の0.18%を上回る結果を残しました。主力株を敬遠した個人マネーが、独自の好材料を発表した個別企業へ集中的に流入したためです。例えば2020年1月16日に業績の上方修正を出した専門商社のオータケは、2日連続で株価の一日の上限であるストップ高まで買われました。
また、前田建設工業が前田道路へのTOB、いわゆる株式公開買い付けを行うと公表したことも波及効果を生んでいます。これを受けて前田建設工業が大株主となっている前田製作所の株価が7%も急騰しました。TOBとは、あらかじめ期間や買い取り価格を提示して、市場を通さずに不特定多数から株式を買い集める手法を指します。こうした大きな企業イベントが刺激となり、関連する銘柄の株価に強い追い風が吹いている状況です。
投資家の資金繰りが良くなっている点も、新興市場への資金流入に拍車をかけています。信用取引で買った株式の含み損益を示す信用評価損益率は、2020年1月10日時点でマイナス10.86に達しました。2019年8月時点のマイナス15台という低水準から大幅に回復しています。個人投資家の損益が改善し、新たな投資へ回す資金に余裕が生まれたことが分かります。ネット上でも、買い増しを検討する前向きな投稿が増えてきました。
しかしながら、今回の新興株の上昇は、新興企業そのものの業績や将来性が改めて評価されたわけではありません。あくまで主力株が行き詰まった結果による資金の避難先という側面が強く、買いの勢いがどこまで続くかには慎重な見方もあります。市場の雰囲気に流されることなく、各企業の財務状況やビジネスモデルを冷静に見極める姿勢が不可欠です。投資家は、ブームの持続性を疑う冷静な視点も忘れてはならないと考えます。
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