中国の新興企業、いわゆるスタートアップを取り巻くマネーの動きに、いま大きな変化が訪れています。現地の有力情報サイト「36Kr」の調査によると、2019年の資金調達額は前年から約4割も減少しました。これまでは勢いのある未上場企業へ湯水のように資金が注がれていましたが、現在は投資家たちが厳しい目利きを行う「選別の時代」に突入しています。SNS上でも「これからは実力のない企業は淘汰される」「バブルが弾けたわけではなく、健全化の兆しだ」といった冷静な分析が相次ぎ、関心を集めています。
この調達額減少の背景には、世界的な「ユニコーン企業」の株価低迷があります。ユニコーン企業とは、企業評価額が10億ドル(約1100億円)を超える、設立10年以内の未上場スタートアップを指す言葉です。こうした期待の星が、いざ株式市場へ上場した途端に時価総額を急落させるケースが相次ぎました。その結果、投資家たちの財布の紐が固くなり、富裕層などの資金力にも陰りが見え始めたのです。2018年までのイケイケムードから一転し、市場全体がリスクに対して慎重になっている様子がうかがえます。
しかし、すべての企業が苦しんでいるわけではありません。2019年の市場は、資金が特定の強者に集まる「二極化」が顕著になりました。投資家から高い評価を受ける企業には、むしろ2018年を上回る巨額の資金が流れ込んでいます。その代表格が、最先端技術を持つトップクラスの企業です。例えば、人気動画アプリを運営する北京快手科技は195億元を調達しました。さらに、自動運転向けのAIチップを開発する地平線機器人のように、海外の著名企業や大手自動車メーカーと手を組む先端テック企業への投資が加速しています。
こうした状況から、私は単なるブームで投資される時代は終わり、社会のインフラを支える本物の技術こそが生き残る時代になったと感じています。実際に、大量のデータを処理するデータセンターやクラウドサービスを手がける騰竜控股集団は、2019年11月に260億元という巨額の資金調達に成功しました。AI(人工知能)やクラウドといった領域は、もはや一時的な流行ではなく、これからの経済活動に不可欠な土台です。投資家たちが「確実な成長が見込めるプラットフォーム」へ資産を集中させるのは、極めて賢明な判断と言えるでしょう。
その一方で、創業したばかりの若いスタートアップには非常に冷たい逆風が吹き荒れています。2016年に設立された無人運転技術の開発企業では、10社以上の投資家に断られ、自社の評価額を当初の10分の1近くまで下げて投資家を募るという苦境に立たされています。かつてのように「将来の夢」を語るだけでは、お金が集まらないのが現状です。企業の持つポテンシャルだけでなく、実際の売上や利益といった、地に足のついた経営データが厳しくチェックされるシビアな環境へと変化しています。
激動の2019年が幕を閉じ、これからの2020年はどのような展開を迎えるのでしょうか。専門家は、昨年末にかけて市場に回復の兆しが見え始めており、今後は企業向けサービスや医療、消費関連の分野に注目が集まると予想しています。これからのスタートアップには、華やかなアイデアだけでなく、着実に利益を生み出す「稼ぐ力」が求められます。この厳しい冬の時代を乗り越えた企業こそが、次の世界をリードする本物の巨人へと成長していくに違いありません。
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