2020年01月21日、日本のビジネス界に大きな激震が走りました。経団連が発表した春季労使交渉の指針は、これまでの「当たり前」を根底から覆す、まさに歴史的な大転換を告げる内容だったのです。長年、日本の経済成長を支えてきた新卒一括採用や年功序列、そして終身雇用という「日本型雇用システム」の限界を認め、いよいよメスを入れる方針を打ち出しました。
この発表を受けて、インターネット上やSNSでは瞬く間に大きな議論が巻き起こっています。「ついに実力主義の時代が本格化するのか」と期待を寄せる声が目立つ一方で、「仕事がなくなったらすぐに解雇されるのではないか」といった、雇用流動化への不安や戸惑いの声も数多く上がっています。このように、働く私たちの将来に直結するテーマだからこそ、世間の関心は非常に高まっているのでしょう。
世界から取り残される日本の危機感とジョブ型雇用の正体
今回の指針で特に注目されているのが、欧米をはじめとする海外では一般的な「ジョブ型」雇用の導入促進です。ジョブ型雇用とは、年齢や勤続年数ではなく、任せる「職務(ジョブ)」や責任の範囲を明確に定義し、その成果や専門性に対して対価を支払う仕組みを指します。いわば、個人の能力や実績をダイレクトに評価する世界水準のグローバルスタンダードだと言えます。
経団連がここまでドラスティックな変革を急ぐ背景には、深刻なデジタル人材不足への強い危機感があります。調査データによると、ビジネスの現場で活躍する人工知能(AI)などの先端IT人材は、アメリカの13万人、中国の7万人に比べ、日本はわずか1万8千人にとどまっています。従来の横並びの給与体系では、世界中から優秀なプロフェッショナルを惹きつけることができないのが現状なのです。
大企業のトップたちもすでに動き出しています。日本経済新聞社のアンケートでは、すでにジョブ型雇用を導入している、あるいは前向きに検討していると答えた経営者が6割を超えました。一律でのベースアップを求める時代は終わり、これからは各企業が自社の経営状況や実情に合わせて、柔軟に最適な制度を追求していく労働交渉へとシフトしていくことは間違いありません。
編集部が斬る!「脱一律」時代を生き抜くために私たちがすべきこと
私は今回の経団連の方針を、日本経済が再び世界のトップランナーへと返り咲くために避けては通れない「必要な痛みを伴う改革」であると考えます。これまでの年功序列は、良くも悪くも「社内にいるだけで給与が上がる」という甘えを生み、個人のスキルアップに対する貪欲さを奪っていた側面を否定できません。世界との人材獲得競争に勝つためには、当然の帰結と言えます。
2020年01月28日の労使トップ会談を皮切りに、2020年03月11日の集中回答日に向けて本格的な交渉が始まります。これからの時代は、会社に依存するのではなく「自分にどんな市場価値があるか」を常に意識することが求められるでしょう。厳しい環境変化を前向きに捉え、自らの専門性を磨き続けるビジネスパーソンこそが、これからの主役に躍り出るはずです。
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