国内の電炉大手である東京製鉄が2020年1月21日に発表した業績予想の上方修正が、市場やSNSで大きな注目を集めています。2020年3月期の単独税引き利益は、前期比4%増の160億円になる見通しです。これまでは16%減の130億円という厳しい減益計画が示されていたため、まさかの一転増益サプライズとなりました。この嬉しいニュースに対し、ネット上では「鉄鋼セクターに明るい兆しが見えた」「配当金アップはありがたい」といった前向きな声が次々と上がっています。
今回の業績回復を牽引したのは、主原料である「鉄スクラップ」の価格下落です。鉄スクラップとは、建物の解体や工場の製造過程で出る鉄のくずのことで、これを電気炉で溶かして新しい鋼材へリサイクルします。米中貿易摩擦などの影響で世界的に製造業の勢いが鈍り、この原料価格が想定以上に値下がりしました。その結果、製品を売った際の利益率が大幅に向上し、工場の修繕コストなどの負担を完全にはねのける形となったのです。
株主への還元もしっかりと強化されます。利益の上方修正に伴い、期末の配当予想は従来よりも1円引き上げられて8円になりました。これにより、年間配当は前期と比べて2円増となる15円に達する予定です。こうした積極的な還元姿勢は投資家からも高く評価されており、SNSでは同社の株主重視の姿勢を歓迎するコメントが目立ちます。業績が厳しい時期でも、しっかりと利益を配当という形で還元してくれる企業は、非常に信頼が置けると言えるでしょう。
一方で、手放しでは喜べない課題も残されています。売上高に関しては、従来の計画から30億円引き下げられ、前期比13%減の1800億円にとどまる見込みです。世界的な経済の先行き不透明感から、自動車や産業機械といった国内の製造業向けの需要が伸び悩んでいます。さらに、海外の鋼材価格が下がっているため、東京製鉄は無理に利益の出ない輸出を行わない方針を貫いており、これが売上高を押し下げる要因となりました。
しかし、足元の収益力は極めて頑強です。同時に発表された2019年4月から12月期までの単独決算では、税引き利益が前年同期比26%増の133億円と絶好調でした。鋼材の販売価格自体は数%ほど下がったものの、原料である鉄スクラップの価格が2割以上も安くなったことが大勝因です。特に2019年10月から12月期は、製品価格と原料価格の差が約11年ぶりの高水準を記録しており、効率よく稼げる環境が整っていたことが分かります。
今後の見通しについて、同社の奈良暢明取締役は記者会見で、国内の都市再開発や災害対策向けの土木・建設分野は底堅いと語りました。現場の人手不足という構造的な課題があるため、一気に需要が爆発することはないものの、安定した需要がじわじわと長続きする見込みです。製造業の逆風を建設分野の強さと原料安でカバーする東京製鉄の戦略は非常に理にかなっており、今後の電炉業界を占う上でも、このしぶとい収益力からは目が離せません。
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