新型肺炎で春節特需に暗雲?小売株急落の背景と今後の投資戦略を徹底解説

株式市場に冷や水が浴びせられています。2020年1月21日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比218円安と大幅に下落して取引を終えました。これまで米中貿易摩擦などの懸念材料が和らぎ、株価が急ピッチで上昇していた反動もあり、市場はネガティブなニュースに敏感に反応しています。その下落を牽引したのが、実は内需の要である「小売株」だったことは見逃せません。

SNS上でも「楽しみにしていた春節の爆買いが消えるのではないか」「インバウンド関連の銘柄を一度手放した」といった不安の声が多数上がっています。例年であれば1月末の春節、つまり中国の旧正月によるインバウンド(訪日外国人旅行)需要の拡大が追い風になる時期です。しかし、中国で発生した新型肺炎がヒトからヒトへ感染することが判明し、経済活動への悪影響を警戒する売りが膨らみました。

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インバウンド銘柄を直撃した失望売りと二重苦の背景

この日の市場では、業種別の日経平均騰落率で「小売業」が1.29%安を記録しました。これは製造業を代表する機械や電気機器よりも大きな下げ幅であり、全36業種中で3番目の下落率となっています。個別では百貨店の松屋が3%安、ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングスも2%安となり、期待が大きかった反動による失望売りの激しさが浮き彫りになりました。

ただ、今回の新型肺炎は株価下落の引き金に過ぎないと私は考えています。小売業界は、2019年10月1日の消費税率引き上げ以降、深刻な消費の冷え込みに苦しんできました。政府によるキャッシュレス決済のポイント還元策などで一時的に期待感が高まったものの、フタを開けてみれば増税の影響は予想以上に長引いており、企業の業績下振れリスクが強く意識されています。

業績の先行きを示す指標として、アナリストの予測変化を表す「リビジョン・インデックス」があります。これは業績予想を上方修正した企業数から下方修正の企業数を引いて算出する指標です。2019年11月頃までは期待先行でプラス圏にありましたが、年末の決算発表を経て足元では再び下方修正が優勢になりました。回復の兆しが見える製造業とは実に対照的です。

構造的リスクと勝ち組銘柄を見極める選別眼

現在の小売業は、天候不順や深刻な人手不足という構造的な大問題にも直面しています。記録的な暖冬によって利益率の高い冬物衣料の販売が大きく落ち込んでいるほか、人手が足りずに営業日や営業時間を短縮せざるを得ない状況が収益の重荷です。こうした複数の悪条件が重なっているからこそ、投資家は小売株に対して警戒を強めているのでしょう。

しかし、すべての小売企業が絶望的というわけではありません。市場ではニトリホールディングスやビックカメラ、丸井グループなど、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフロー(現金の流れ)を持つ企業を評価する声も出ています。構造改革を推進し、配当などの株主還元を強化できる企業であれば、株価が下がった局面は絶好の押し目買いの好機となるはずです。

消費の復活やインバウンドの回復という明るい兆しが見えない限り、小売株全体が相場を牽引するのは難しいでしょう。それでも、この逆風の時代だからこそ企業の本当の実力が見えてきます。一括りに「小売株はダメだ」と諦めるのではなく、個々の企業の稼ぐ力を冷静に見極める選別眼こそが、これからの株式投資において最も重要な鍵を握るに違いありません。

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