中国の家電市場を牽引する巨大企業、美的集団(ミデアグループ)の株価に大きな激震が走りました。2020年1月22日の深圳株式市場において、同社の株価は大幅に続落し、一時は前日比3.6%安の56元まで急降下したのです。これは2020年1月6日以来の安値水準となり、市場には動揺が広がっています。突如として沸き起こったこの大量の売り注文の背景には、世界中の投資家が指標とする重要な株価指数からの「除外発表」が深く関係しているようです。
株価急落の引き金となったのは、アメリカの有名な指数算出会社であるMSCIが、日本時間の2020年1月22日未明に下した決定でした。なんと、2020年1月24日付で美的集団を自社の構成銘柄から外すと発表したのです。このニュースが伝わるや否や、インターネット上やSNSでは「ミデアに何が起きたのか」「これから資金が一気に流出してしまうのではないか」といった、投資家たちの不安や驚きの声が瞬く間に拡散されました。
なぜ除外された?海外投資家を悩ませる「30%の壁」
MSCI側は除外の具体的な理由を明かしていませんが、市場関係者の間では、海外投資家による保有比率が「上限」に達したためだと見られています。中国本土の株式市場には厳格なルールが存在しており、外国の資金が特定の企業の発行済み株式の30%を超えて保有することは認められていません。さらに、保有比率が28%に達した段階で、海外からの新たな買い注文が一切受け付けられなくなるという、非常に厳しい仕組みになっているのです。
専門用語として登場する「構成銘柄」とは、日経平均株価のように市場の動きを示す指数の算出に使われる代表的なブランドのことです。これに選ばれると、指数に連動して機械的に運用される巨額の投資信託(インデックスファンド)などの購入対象となり、株価が上がりやすくなります。しかし今回のように除外されてしまうと、それらのファンドがルールに従って一斉に株を売却するため、一時的に大きな値下がりの圧力がかかってしまいます。
深圳取引所のデータによると、海外の投資家が香港との相互取引制度や、政府から特別に許可を得た「QFII(適格外国機関投資家)」という枠組みを通じて保有していた美的集団の株式は、2020年1月20日時点で既に28%に達していました。つまり、人気が高すぎてこれ以上買えない状態になってしまったと言えます。業績が悪化したわけではなく、むしろ世界中から資金が集まりすぎたがゆえのペナルティという、皮肉な事態が起きているのです。
編集部の視点:今回の株価急落は絶好の買いチャンスか
今回の騒動について筆者は、企業の価値そのものが損なわれたわけではないため、過度に悲観する必要はないと考えています。むしろ、海外勢が上限いっぱいにまで買いたがるほど、美的集団の成長性や家電セクターにおける競争力が魅力的であることの証明ではないでしょうか。制度上の問題による一時的な需給の悪化で株価が下がっている現状は、これまで同社株を買いそびれていた投資家にとって、むしろ絶好の押し目買いの好機であると捉えています。
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