オフィスや自宅のパソコンに、劇的な変化が訪れています。電子情報技術産業協会(JEITA)が2020年1月22日に発表したデータによると、2019年の国内パソコン市場は驚異的な盛り上がりを記録しました。なかでもデスクトップ型の出荷台数は、前年と比べて49%増となる258万台へ急増しています。全体の出荷数も37%増の973万台に達しており、まさに異例の「お祭り騒ぎ」といえる状況を迎えているのです。
この爆発的なヒットの背景には、米マイクロソフト社の基本ソフト(OS)である「Windows 7」のサポート終了があります。OSとはパソコンを動かすための脳にあたる基盤ソフトですが、この安全対策などの更新が止まるため、多くの企業が最新の「Windows 10」への移行を迫られました。SNSでも「会社のPCが一斉に新しくなった」「買い替えのシステム構築で大忙し」といった声が相次ぎ、日本中で一斉にリプレイスが行われたことがうかがえます。
さらに、消費税率の引き上げが直前に控えていたことも、このビッグウェーブを加速させました。増税前の駆け込み需要が重なった結果、デスクトップ型の出荷数は一時、前年同期の約2倍となる32万台にまで跳ね上がっています。また、持ち運びに便利なノート型パソコンについても、33.6%増の715万2000台と素晴らしい伸びを見せました。こうした企業の買い替えサイクルが、見事にサポート終了のタイミングと合致した形です。
これほどの大幅な増加は、業界内でもおよそ20年ぶりの快挙だといわれています。調査会社の専門家によれば、この熱狂的な買い替えの動きは個人向けを中心に2020年3月頃まで継続する見通しです。また、予算やリソースの都合で対応が遅れていた中小企業による導入も、しばらくは底堅く推移するでしょう。そのため、年明け以降もしばらくは、家電量販店や法人向け窓口が賑わう日々が続きそうです。
しかし、こうした華やかなお祭り騒ぎの裏には、業界が懸念する大きな影も潜んでいます。需要が完全に一巡してしまう2020年の後半以降は、これまでの反動によって出荷数が大幅に落ち込むことが確実視されているからです。特需のあとに訪れるこの深い谷を、各メーカーがどのように乗り越えていくのかが今後の焦点になるでしょう。
筆者の視点としては、今回の特需は単なる消費の先食いに過ぎず、2020年後半の冷え込みは避けられないと考えます。だからこそ、メーカー各社は単に端末を売るだけでなく、テレワークなどの新しい働き方に合わせた付加価値の提案へ舵を切るべきです。ここからが、真の技術力とアイデアが試される勝負の始まりではないでしょうか。
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