今、中部の経済界と日本のエネルギー業界において、中部電力の存在感が急激に高まっています。中部地方の経済を牽引する中心組織である中部経済連合会(中経連)は、現在の豊田鐵郎会長の後任として、中部電力の水野明久会長を起用する方針を固めました。この人事は地元の経済界だけでなく、全国のビジネスシーンからも大きな注目を集めているところです。
ネット上やSNSでも「中部電のリーダーシップに期待」「いよいよ新時代が始まる」といった前向きな声が溢れており、その期待値の高さがうかがえます。水野氏は2020年6月に開催予定の定時総会を経て、正式に新会長へと着任する見通しとなっています。かつて三田敏雄氏が務めて以来、4年ぶりに中部電力から経済界のトップが誕生することになり、地元産業界の士気も一段と高まっている印象を受けます。
これまで水野氏は中経連の副会長として現体制を熱心に支えながら、経済委員会の委員長も兼任してきました。そこでの経済政策や社会制度に関する具体的な提言の取りまとめ役としての実績は、誰もが認めるものです。東日本大震災の発生以降に悪化した会社の業績を見事に立て直し、東京電力との歴史的な燃料事業での包括提携(企業の枠組みを超えた全面的な協力関係)をまとめ上げた決断力は、今でも高く評価されています。
中経連の幹部からも「国に対して実効性のある政策提言を行うには、優秀な人材の力が絶対に欠かせない」という意見が出ています。このように組織を支える事務方を含め、豊富な人材層を抱えている点も、中部電力に白羽の矢が立った大きな要因と言えるでしょう。まさに経済界をリードするにふさわしい盤石な組織力が、今回の人事によって証明された形となりました。
電事連と中経連のダブルトップ!直面に迫る「送配電分離」という大改革への挑戦
実は中部電力のリーダーシップは、経済界だけに留まりません。2019年秋に発覚した関西電力の金品受領問題を受け、電気事業連合会(電事連)の会長だった岩根茂樹氏が退任した際、中部電力の勝野哲社長が会長に再登板しました。エネルギー業界全体に「この未曾有の危機を乗り切るには、中部電力に頼るしかない」という強い信頼感が漂っており、今回の水野氏の件と合わせて驚異的なダブル就任が実現します。
しかし、華やかな表舞台の裏には、非常に険しいハードルも待ち受けているようです。特に直近の課題として挙げられるのが、2020年4月1日に控えている「送配電部門の法的分離」という大改革です。これは電気を作る発電部門と、電気を届ける送配電部門を別の会社として完全に独立させる国の制度改革であり、会社にとっては組織のあり方を根底から変える一大イベントとなります。
筆者の視点として、今回のダブル就任は中部電力の実力を示す誇らしいニュースである一方、社内の経営改革と外部の要職対応を同時にこなすのは至難の業だと考えます。限られた経営資源(人、モノ、資金などの財産)をいかにバランスよく配置できるかが、勝野・水野両氏の今後の本当の腕の見せ所になるでしょう。このピンチをチャンスに変える、天才的な采配の巧妙さにこれからも目が離せません。
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