神奈川県内の自動車市場に、今まさに大きな地殻変動が起きようとしています。県内を代表するトヨタ系列の2大販売会社グループが、相次いで大規模な組織再編へと舵を切りました。この変革の背景にあるのは、2020年5月からスタートする全国のトヨタ店舗での「全車種併売」という大きな方針転換です。
これまでは、高級車なら「トヨタ店」、大衆車なら「カローラ店」というように、各チャネルで取り扱う車種が厳格に分かれていました。しかし今後は、どの店舗へ足を運んでもすべてのトヨタ車が購入可能になります。ユーザーにとっては利便性が飛躍的に向上する一方で、販売店にとってはこれまでにない激しい競争の幕開けを意味しているのです。
こうした市場の転換期を迎え、KTグループは2020年1月23日に驚きの新体制を発表しました。なんと、神奈川トヨタ自動車、トヨタカローラ横浜、ネッツトヨタ横浜、ネッツトヨタ湘南という個性の異なる販売4社を、2020年5月に電撃合併するというのです。
新しく誕生する店舗名は「トヨタモビリティ神奈川」に統一され、県内117店舗が一丸となってリスタートを切ります。SNSでは「慣れ親しんだカローラやネッツの看板が変わるのは寂しいけれど、1つの窓口で全部の車を選べるのは本当に便利になりそう」と、期待と驚きの声が広がっていました。
これまでは各社が独自に購入していた試乗車を近隣店舗でシェアしたり、広告業務を一本化したりすることで、無駄なコストを徹底的に削減する構えです。ユーザー目線で見ても、様々な車種を1つの店舗で気軽に乗り比べられるようになるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
一方、ライバルであるウエインズグループも負けてはいません。こちらは横浜トヨペット、トヨタカローラ神奈川、ネッツトヨタ神奈川の3社統合を見据え、2020年1月からすでに発注業務や配送手続きを行う部署を一本化させました。
さらに2020年4月からは人事制度も共通化し、これまでバラバラだった顧客管理システムや中古車の整備工場なども集約していく方針です。組織の壁を取り払うことで、グループ全体の総合力を極限まで高めようとする強い意志が感じられます。
実は、神奈川県内におけるトヨタの新車登録台数は、1990年のピーク時に比べて約47%も減少しています。近年の若者の車離れや、所有から共有へとシフトする「カーシェアリング(会員間で車を共同利用するサービス)」の普及が、ディーラーに重い課題を突きつけているのです。
こうした状況を踏まえると、今回の再編は単なるコスト削減ではなく、激変する時代を生き抜くための必然の戦略だと私は確信しています。近距離に乱立していた店舗の統廃合や、数千人規模にのぼる従業員の最適な配置転換など、解決すべきハードルは決して低くありません。
しかし、地域のモビリティ(移動の可能性)を支える新たな拠点として、この改革は私たちのカーライフをより豊かにしてくれるはずです。これからは自動車を売るだけでなく、新しい移動の価値を届ける先進的なサービス業への脱皮を期待せずにはいられません。
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