日本の老舗防災メーカーである帝国繊維に対し、イギリスの投資ファンドが新たな揺さぶりをかけていることが2020年1月28日までに明らかになりました。声を上げたのは、同社の株式を5.2%保有するアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)です。彼らは2020年3月末に開催予定の定時株主総会に向けて、株主還元の大幅な強化を求める提案を突き付けており、市場関係者の間で大きな話題を呼んでいます。
具体的な要求としては、現在会社側が計画している1株あたり40円の年間配当を76円へとほぼ倍増させることや、約20億円規模の自社株買いの実施です。自社株買いとは、企業が市場から自らの株式を買い戻すことで、1株あたりの価値を高める手法を指します。SNS上では「これほど手元資金があるなら株主還元に回すべきだ」というAVIの主張に共感する声が上がる一方で、「企業の防衛資金を削るべきではない」という慎重派の意見も見られました。
AVIが問題視しているのは、帝国繊維の総資産の約7割を現預金や有価証券が占めているという歪な財務構造です。この潤沢すぎる資産が、経営効率を示す指標であるROE(自己資本利益率)の低迷を招き、結果として株価が本来の実力より安く放置されていると指摘しています。ROEとは、株主から預かったお金をどれだけ効率よく使って利益を上げたかを表す数値であり、投資家が企業価値を測る上で極めて重要視するモノサシです。
さらに、総資産の3割以上を占めるヒューリック株についても、本業との相乗効果が薄いとして売却を迫っています。帝国繊維側は「対応を検討中」としていますが、過去には別のファンドからの同様の提案を否決してきた歴史があります。守りの経営を続ける会社側と、攻めを促すアクティビスト(物言う株主)の対立は、企業のあり方を問い直す好例と言えるでしょう。
個人的には、日本企業が抱える「現金の抱え込みすぎ」という課題に一石を投じる有意義な提案だと感じています。手元に資金を眠らせておくよりも、配当や自社株買いで株主に報いるか、さもなければ未来の成長投資へ大胆に回すべきではないでしょうか。2020年1月29日にはAVIのトップによる記者会見も予定されており、どのような議論が展開されるのか、今後の動向から目が離せません。
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