キヤノンマーケティングジャパンが2020年1月28日に発表した2019年12月期の連結決算は、純利益が前の期と比べて7%増の222億円に達しました。売上高こそ微減の6211億円となったものの、本業の儲けを示す営業利益は12%増の324億円と大幅な伸びを記録しています。この好調な業績を強力に牽引したのが、企業向けにIT機器の導入や運用をサポートする「IT支援事業」の躍進です。さらに社内の人員配置を見直すことで経費を削減した取り組みも、見事に利益を押し上げる要因となりました。
ネット上のSNSでも「カメラのキヤノンというイメージが強いけれど、いまや立派なITソリューション企業に変貌している」「企業のパソコン入れ替え特需を上手くビジネスチャンスに変えた戦略が素晴らしい」といった驚きや感心の声が相次いでいます。デジタル技術を活用して業務効率化を図る「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が叫ばれる昨今、同社が提供する手厚いITサポートは、まさに多くの現代企業が今一番必要としているサービスだったと言えるでしょう。
今回の業績アップに最も大きく貢献したのは、米マイクロソフト社の基本ソフト(OS)である「Windows7(ウィンドウズ7)」がサポート終了を迎えたことです。サポート終了とは、安全性を保つための修正プログラムの提供が止まることを意味します。このリスクを回避するため、中小企業を中心に最新パソコンへの入れ替え需要が爆発的に発生しました。同社は機器の納入と同時にソフトウェアの受注も獲得することに成功し、利益率を大きく向上させています。
さらに、金融機関や製造業向けに独自のシステムを構築するシステム開発事業も非常に堅調な推移を見せました。その一方で、私たちがよく知るカメラやプリンターといったオフィス・家庭向け機器のビジネスは苦戦を強いられています。スマートフォンのカメラ性能向上による市場縮小の煽りを受け、一眼レフやコンパクトカメラの販売が減少しました。また、ペーパーレス化の波によってインクジェットプリンターの消耗品の売れ行きも響いています。
これからの時代、紙の印刷や従来のカメラだけに頼るビジネスモデルは限界を迎えることが予想されます。キヤノンマーケティングジャパンがカメラのブランド力に甘んじることなく、いち早くITの保守・運用支援というストック型のビジネスへ軸足を移した決断は、非常に見事だと私は評価しています。デジタル化という時代の変化をピンチではなくチャンスとして捉え、企業の課題解決に寄り添う姿勢こそが、今回の素晴らしい増益という結果に結びついたはずです。
同時に発表された2020年12月期の業績予想では、売上高が前期比3%減の6000億円を見込む一方、純利益は2%増の228億円とさらなる増益を目指しています。2020年1月には医療機器の販売子会社を譲渡した影響で、売上高が約120億円押し下げられる見通しです。しかし、不採算や専門外の分野を整理して得意のIT分野へ経営資源を集中させることで、同社は今後もさらなる高収益体質へと進化を遂げていくに違いありません。
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