大手回転ずしチェーンのくら寿司が、2020年1月22日に東京・浅草で「和」のテイストを前面に押し出した新しいタイプのグローバル旗艦店を開業します。この新しい拠点は、日本を訪れる外国人観光客に本物の日本文化を体験してもらい、彼らが母国に帰った後も現地の店舗を利用してもらうという、非常にスマートな導線を描くための試金石となる見込みです。SNS上でも「お祭りのような空間で楽しそう」「外国人の友達を連れて行きたい」と早くも大きな話題を集めています。
新店舗がオープンするのは、浅草の象徴的な商業施設である「浅草ROX」の内部です。店内は、美しい白木の柱やテーブルが並び、座席には畳が敷かれるなど、日本の伝統美を五感で楽しめる空間が広がっています。さらに、射的や輪投げを楽しめる「縁日スペース」が設けられており、単に食事をするだけでなく、日本のお祭り文化を体験できる「コト消費」に重きを置いている点が最大の特徴です。店舗面積や座席数は国内最大規模を誇り、圧倒的な存在感を放つでしょう。
この店舗では、最先端のテクノロジーも惜しみなく投入されます。多言語に対応した音声翻訳機だけでなく、カメラが皿の枚数を自動で識別して計算する自動会計システムなども導入され、観光客が言葉の壁を感じずにスムーズに食事を楽しめる工夫が満載です。このように、日本の伝統的な情緒と現代のデジタル技術を高次元で融合させた店舗づくりは、これからのインバウンドビジネスにおける素晴らしい模範解答であると私は確信しています。
実は、回転ずし業界は生ものを扱うため、海外の厳しい衛生規制をクリアすることが難しく、大型設備を導入できる物件の確保も容易ではないため、他ジャンルの外食企業に比べて海外進出が遅れていました。しかし、世界的なすしブームは今もなお根強く、くら寿司はこの浅草店を皮切りに、2020年中には中国の上海への進出も計画しています。同社は2030年までに国内外で1000店舗という壮大な目標を掲げており、その本気度がうかがえます。
激化するライバル他社との覇権争い
海外展開において、くら寿司はライバルの「スシロー」などに対して一歩リードしている状況です。すでにアメリカや台湾に多くの店舗を構えており、現地での上場によって調達した資金や、ストックオプションと呼ばれる「あらかじめ決められた価格で自社の株を購入できる権利」を報酬として用意することで、優秀な現地の人材を確保することに成功しています。この人材確保の仕組みは、海外事業を軌道に乗せる上で非常に有効な手段と言えます。
一方で、他社も黙って指をくわえているわけではありません。「元気寿司」は業界に先駆けて1993年にアメリカのハワイへ出店しており、現在は中国やアメリカを中心に多くのフランチャイズ店を展開しています。スシローも台湾や韓国での基盤を固めつつ、香港やシンガポールへの新規出店を果たし、将来的には中国市場への参入も狙っています。これまでは各社で得意なエリアが分かれていましたが、今後は同じ地域での真っ向勝負が避けられないでしょう。
専門家が指摘するように、各社が一斉に海外進出を加速させると、どこも似たような店舗に見えてしまい、独自の強みが伝わりにくくなる懸念があります。だからこそ、今回のくら寿司が仕掛ける「日本の祭り文化の体験」という独自の付加価値は、他社との明確な差別化を図る強力な武器になるはずです。単に美味しい寿司を提供するだけでなく、日本でしか味わえない感動を世界に届けるという戦略が、今後の海外覇権争いの鍵を握るに違いありません。
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