近年、メディアで見かけない日はないほど注目を集めている「SDGs(持続可能な開発目標)」。2015年に国連で採択されたこの世界共通の目標に対して、SNS上でも「大企業だけのトレンドなのでは?」「中小企業には敷居が高い」といった疑問の声が数多く上がっています。しかし本当にそうでしょうか。2020年1月27日、社会起業大学の理事長である田中勇一氏は、その固定観念を覆す極めて先進的な取り組みを紹介しています。
これまでの社会貢献活動(CSR)は、企業が利益の一部を寄付するような「本業の外側」での活動が主流でした。しかしSDGsの画期的な点は、ビジネスそのものを通じて社会課題を解決することを許容している点にあります。自社の強みや本業を活かして社会に貢献し、同時に利益も生み出すというアプローチは、まさに現代の企業に求められる新しい経営の姿と言えるでしょう。
このSDGsの実践と深くシンクロするのが、すべてのステークホルダーを重視する「公益資本主義」という考え方です。これは株主の利益だけを最優先する従来の資本主義とは一線を画します。顧客や従業員、取引先、そして地域社会のすべてに利益を還元し、中長期的な視点で持続可能な成長を目指すことで、最終的には地球全体の利益に貢献するという壮大な理念を掲げています。
一般社団法人公益資本主義推進協議会(PICC)で広報を担う諸江秀次氏は、この理念を体現する存在です。マーケティングと広報のスペシャリストである彼は、コンサルティング会社を設立後、クライアントの社会課題解決を支援してきました。さらに、PICCの加盟企業が展開する事業とSDGsの実践を直接結びつけようと、革新的な提言を行っています。
日本経済新聞が2019年12月に発表した「SDGs経営調査」は大きな話題を呼びましたが、その対象は上場企業や大企業が中心でした。日本企業の実に99.7パーセントを占める中小企業の実態が見えにくい中、諸江さんは独自の調査を企画します。PICCの会員企業を対象に、彼らが17の目標に対してどれほどコミットしているかを可視化する試みをスタートさせたのです。
2019年10月から開始されたこの実態調査の集計結果は、実に興味深いものでした。加盟企業は何らかの形で17の目標すべてに関わっており、特に「働きがいも経済成長も」や「質の高い教育をみんなに」といった項目で高いスコアを記録したのです。これは公益資本主義が大切にする「人を尊重する姿勢」が、データとして実証された瞬間でもあります。
私自身の見解としても、中小企業こそSDGsを経営の羅針盤にすべきだと確信しています。大企業のような潤沢な資金がなくても、本業を通じて社会に貢献するという視点を持てば、自社の存在意義が再定義され、従業員のモチベーション向上や新たなビジネスチャンスの創出につながるからです。SDGsは単なる義務ではなく、中小企業の持続可能性を高めるための強力な武器になります。
社会起業家精神にあふれる諸江さんのようなリーダーが道を切り拓くことで、日本のビジネスシーンはより豊かで温かいものへと進化していくでしょう。PICCでは今後もこの調査を継続し、会員同士で情報を共有しながら、具体的な実践目標としてSDGsを活用していく方針です。大志を抱くすべての中小企業が社会課題の解決に挑む、そんな未来の到来が非常に楽しみです。
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