自動車業界が「100年に1度」という激動の時代を迎える中、2020年1月30日に創立100周年という記念すべき節目を迎えたマツダ。広島市の本社で行われた式典で丸本明社長が語ったのは、周囲に流されることなく、マツダらしい「独自性」を貫き通すという強い決意でした。これまでSUVのヒットや、安易な値引きに頼らないブランド戦略で快進撃を続けてきた同社ですが、現在は世界的な市況低迷という大きな試練に立たされています。
2019年の世界販売台数は、前年比でマイナスとなる149万台に留まり、実に8年ぶりの減少となりました。SNS上でも「マツダはデザインが本当に美しい」「独自のエンジン技術に惹かれる」といった熱狂的なファンからの声が届く一方で、「業界全体の停滞感には抗えないのでは」「これからの電動化でどう独自性を出すのか」といった冷静な分析も散見されます。ファンの期待と厳しい現実の狭間で、マツダは今、まさに正念場を迎えていると言えるでしょう。
スモールプレーヤーが選ぶ、未来への生存戦略
マツダは業界内では、販売規模が150万台から160万台程度の「スモールプレーヤー」と呼ばれています。自動車業界は現在、CASE(ケース)と呼ばれる大きな転換期にあります。これはコネクテッド(接続)、自動運転、シェアリング、そして電動化の頭文字を取ったもので、自動車メーカーが直面している技術的な大変革を指します。巨額の投資が必要なこの時代において、小規模なマツダが生き残る道はどこにあるのでしょうか。
丸本社長は「全方位的に全ての技術に対応できるとは思っていない」と、あえて選択と集中を行う姿勢を見せています。その象徴となるのが、2020年に欧州、そして年度中には日本でも発売が予定されている量産初の電気自動車(EV)「MX-30」です。あえて全方位を追わず、マツダが大切にしてきた「走る喜び」を、電動化時代においてもいかに体現するのか。その独自の提案力が、今後の飛躍の鍵を握っていることは間違いありません。
過去の誇りと、未来を見据えるロマン
振り返れば、マツダは1920年1月30日に東洋コルク工業として産声を上げました。コルク製造からスタートし、のちに三輪トラックや、歴史に残るロータリーエンジン車を世に送り出すなど、常に常識を覆す技術と情熱で時代を切り拓いてきました。現在、ロータリーエンジンの生産は終了していますが、今なお従業員全員がその復活を願うほど、マツダにとっての原点であり、「ロマン」そのものなのです。
私個人としても、マツダのような「一点突破のこだわり」を持つメーカーは、自動車文化において必要不可欠な存在だと感じています。効率化ばかりが優先されがちな現代において、あえて非合理とも思えるロマンを追いかけ、ブランド価値を磨き続ける姿勢は、多くのファンを魅了してやみません。5年、10年先を見据えて困難を乗り越えてきた歴史があるからこそ、この試練もまた、次の100年に向けた通過点になるのではないでしょうか。
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