100年以上の歴史を持つ老舗の酒蔵がひしめき合う日本酒業界に、全く新しい風を吹き込んでいる注目の新興勢力をご存知でしょうか。2016年に創業を果たした「WAKAZE(ワカゼ)」は、これまでの常識を覆すような尖った個性を武器に、若い世代を中心に熱狂的な支持を集めています。長引く国内消費の低迷が叫ばれるお酒の市場ですが、彼らの自由な発想から生まれる一杯は、私たちに全く新しい世界を見せてくれるはずです。
彼らが手掛けるお酒はどれも個性的で、SNS上でも「ワイン樽の香りがたまらない」「パッケージが洗練されていてお洒落!」といった驚きと絶賛の声が溢れています。例えば、ワイン造りに使われた樽で熟成させる「オルビア」や、ハーブなどの植物や香辛料で風味付けを施した新感覚の「ボタニカルSAKE フォニア」などはその代表格と言えるでしょう。伝統的な製法にとらわれない斬新なアプローチが、今まで日本酒に馴染みが薄かった人々の心も力強く惹きつけているのです。
さらに注目したいのが、東京の三軒茶屋にある自社醸造所で造られる「どぶろく」の存在です。どぶろくとは、米と米麹と水を発酵させた後、もろみを一切濾過せずにそのまま瓶詰めする、お米本来の甘みや旨みをダイレクトに味わえる伝統的な濁り酒を指します。WAKAZEではこのどぶろくを自社で醸造しており、併設されたバーだけでなく、一部の酒販店や百貨店、さらには通信販売のサイトなどでも幅広く展開し、多くのファンを魅了し続けてきました。
海を越えたフランスでの挑戦と逆輸入への期待
彼らの躍進は国内だけに留まらず、2019年11月にはなんとフランスのパリ近郊にあたるフレンヌ市にて、清酒の醸造所を本格的に稼働させました。近年、小規模な醸造所で職人がこだわりを持って造り上げる個性的な「クラフトビール」が人気を集めているように、日本酒の世界でも独自の個性が強く求められ始めています。海外で日本酒の知名度は高まっているものの、どうしても価格が割高になってしまうという課題が存在していました。
そこでWAKAZEは、現地のフランス産原料を巧みに活用しながらも、日本の伝統的な製法を踏襲して現地生産を行うことで、この価格の壁を見事に打ち破ろうと試みています。こうしたグローバルな視点を持つ取り組みは、大変素晴らしいと感じずにはいられません。2020年の春以降には、フランスで仕込まれたお酒の一部を船便で日本へと運び、三軒茶屋の併設バーなどで提供していく予定だと発表されています。
伝統的な産業において、新しい感性を持つ若き作り手たちが固定観念を打破し、挑戦を重ねる姿は非常に尊いものです。私自身、こうした伝統と革新が見事に融合していくプロセスこそが、斜陽と言われる業界を再び輝かせる唯一の道であると確信しています。日本酒の未来を切り拓くWAKAZEの次なる一手に、これからも目が離せません。
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