就職活動において、先輩社員の雰囲気が良かったから、面接官が魅力的だったからという理由で入社を決める学生は少なくありません。しかし、「人で選ぶ」という判断基準だけに頼り切ってしまうと、思わぬ落とし穴にはまる可能性があることをご存知でしょうか。実際、就職後に「こんなはずではなかった」と後悔を口にする若手社員も後を絶ちません。
ある大手百貨店に勤務する3年目の社員は、就活当時に内定を得ていた大手食品メーカーと百貨店のどちらに入社するか迷い、最終的にアルバイト経験があり、雰囲気が好きだった百貨店を選びました。ところが実際に入社してみると、アルバイト時代とは全く異なる仕事内容や社風に戸惑い、現在は転職を考えるほどの悩みを抱えています。これは、働く「仕事内容」の本質を理解しないまま、イメージだけで企業を決めてしまった一例と言えるでしょう。
入社のミスマッチを防ぐ4つの視点
パーソルグループの調査では、新入社員の7割以上が「想像していた仕事と違う」というギャップを感じているという衝撃的なデータも出ています。専門家は、企業選びには「理念」「仕事」「人」「待遇」という4つの要素すべてにおいて、ある程度納得感を持つことが重要だと説いています。どれか一つでも欠けていると、早期離職につながるリスクが高まるのです。
SNS上でも、「配属ガチャで希望の部署に行けず、思っていたのと違う」「会社の看板だけで選ぶと、実務との乖離に苦しむ」といった就活生の不安や、現役社員のリアルな悲鳴が多く見受けられます。理想と現実のズレを最小限にするためには、知名度や雰囲気といった表面的な情報に惑わされず、その企業の事業内容を徹底的に深掘りする「業界研究」が不可欠です。
表面的な情報から一歩踏み込む「業界研究」の技術
では、どのように業界研究を進めればよいのでしょうか。おすすめは、身の回りの製品が消費者に届くまでの「サプライチェーン(供給網)」を追うことです。スマホ1台をとっても、素材メーカーから物流、小売まで、多くの企業が連携して価値を生み出しています。ただ単に「完成品を作っている企業」を見るだけでなく、その過程で誰がどのような役割を果たしているのかを俯瞰することで、業界の全体像が見えてくるはずです。
さらに、より深く企業を知るためには決算資料、いわゆる「通信簿」を確認しましょう。貸借対照表(BS)で「自己資本比率」を見て会社の体力を測り、損益計算書(PL)などで収益性をチェックするのです。例えば、資産の中身を見ると、その会社が現在どこに投資し、未来へ向かおうとしているのかという事業の構造が明確に浮かび上がってきます。
私自身、就活は単なる通過儀礼ではなく、自分が社会に対して何を提供できるかを確認するための重要なプロセスだと考えます。経営計画や財務データといった「数字」と、先輩社員の言葉のような「感情」の両面から企業を多角的に分析してください。面倒に感じるかもしれませんが、その泥臭い努力こそが、入社後のギャップを減らし、納得できるキャリアを築くための唯一の道なのです。
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