自動車業界にいま、大きな変革の波が押し寄せています。それが「CASE(ケース)」と呼ばれる次世代技術の潮流です。この言葉は、コネクテッド(つながる)、オートノマス(自動運転)、シェアリング(共有)、エレクトリシティー(電動化)という4つの分野の頭文字を組み合わせたもの。自動車が単なる移動手段から、高度なIT機器やエネルギーデバイスへと進化する中で、これまで自動車産業の集積が少なかった北海道で、驚くべき技術開発が進んでいるのをご存じでしょうか。2020年2月4日現在、地元の企業がその高い技術力で、世界を驚かせる準備を着々と整えています。
360度どこからでも光を取り込む!球状太陽電池の可能性
まず注目したいのが、京都市に本社を置き、北海道の恵庭市や上砂川町に開発拠点を持つスフェラーパワーの取り組みです。同社が開発したのは、360度あらゆる方向から受光できる球状の太陽電池「スフェラー」です。従来の板状の太陽電池と比較して、受光量は約3倍。直径1から2ミリメートルという極小サイズであるため、曲面への設置が容易なのが強みです。今後は30億円規模の設備投資を行い、現在の月産100キログラムから10倍の量産体制を目指すとしています。
この技術は、電気自動車(EV)のボンネットやガラス面に組み込むことで、補助電源として活用される未来を想定しています。SNS上では「デザインの自由度が広がりそうでワクワクする」「太陽光を無駄にしない発想が素晴らしい」といったポジティブな反響が多く見られます。私個人としても、エネルギーインフラを車体自体に持たせるという発想は、究極の自立型車両を生み出す鍵になると確信しています。
過酷な環境を生き抜く、最強の「守り」の技術
一方、北海道函館市のエスイーシー(SEC)は、過酷な環境から精密機器を守る「ジェラフィン」という防水・耐圧樹脂を提案しています。これはもともと海中探査機器の保護用として開発されたものですが、自動運転支援システムを担う道路沿いのセンサーを、振動や排ガス、硫黄などの腐食性物質から守る目的で活用しようという画期的なアイデアです。水深1万メートル相当の水圧に耐えられる性能は、自動車内の繊細な電子機器を保護する上でも非常に頼もしい存在でしょう。
現在は委託生産を行っていますが、3年以内には自社工場を建設し、大口受注に応えられる体制を整えるという目標を掲げています。技術者の情熱が、インフラを守る「鎧」となり、自動運転の信頼性を底上げする。これこそが、地方発の技術がグローバルな課題を解決する一つの成功モデルだと感じます。
寒冷地仕様EVが挑む、エネルギーの最適化
さらに、札幌市の機械設計会社であるWill―E(ウィル・イー)の挑戦も忘れてはいけません。同社は寒冷地で課題となる「蓄電池の性能低下」を克服するため、寒冷地仕様EVの製作プロジェクトに参加しています。特筆すべきは、補助電源モーターを備えた2人乗りの車両開発です。連結する台数を人数に合わせて調整することで、エネルギーの無駄を極限まで減らすというコンセプトは、環境への配慮が叫ばれる現代において非常に理にかなっています。
これまで北海道は完成車工場がないことから、自動車産業の裾野が広がりにくいという課題を抱えてきました。しかし、裏を返せば「少量多品種生産」に長けた企業が多かったということ。CASEという新たな市場は、コストや安全性を確立する道のりが険しい分、異業種からの参入には無限のチャンスが広がっています。1月30日から31日にかけて開催された展示商談会でも、これらの技術は多くの注目を集めていました。北海道のモノづくりは今、自動車の未来をリードする存在へと進化を遂げようとしています。
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