中国の武漢市を起点に猛威を振るう新型コロナウイルスは、四国地方の経済にも暗い影を落とし始めています。訪日外国人旅行客を指すインバウンドだけでなく、日本から海外へ出かけるアウトバウンドにも深刻な事態が拡大中です。終わりの見えない状況に、多くの企業や自治体が不安を募らせています。
SNS上では「いつも賑やかな観光地が静かで寂しい」「これからの旅行計画をどうすべきか悩む」といった、困惑や心配の声が多数見受けられます。現地の活気が失われつつある現状に対して、ネット上でも危機感を抱く人々が急増している模様です。
高知市の人気スポットである「ひろめ市場」では、2020年2月6日の夜、スタッフ全員がマスクを着用して業務にあたっていました。普段ならお酒を楽しむ中国人客の姿が消え、地元の常連客が店を支える異例の事態となっています。いつもと違う緊迫した空気が、現場には漂っているようです。
愛媛県の松山城でも、上海からの直行便の利用者に配った無料観光券の1月実績が前年の半分に激減しました。ロープウェイの利用は137件から66件へ、天守の入場も126件から59件へと大幅に落ち込んでいます。観光への打撃は、想像以上に深刻な数値として表れ始めました。
旅行のキャンセルは、四国から海外へ向かう動きにも波及しています。農協観光香川支店では、2020年2月末から4月末に上海を経由してヨーロッパへ向かうツアーなどが中止を余儀なくされました。航空便の減便が響き、計60人分もの解約が発生して担当者も困惑しています。
徳島県でも、2020年2月1日から香港便を利用する主要ツアーが中止され、日本人の旅行控えが顕著です。さらに四国経済連合会は、2020年3月に予定していた台湾との経済交流シンポジウムを6月頃へ延期しました。台湾側が渡航を自粛したため、やむを得ない判断といえます。
一方で、すべての施設が打撃を受けているわけではありません。徳島県鳴門市の大塚国際美術館では、大盛況だった前年とほぼ変わらない入場者数を維持しています。外国人団体客の解約も現時点で1件程度にとどまっており、観光地によって明暗が分かれているのが現状です。
JRホテルクレメント高松やJR四国の鉄道利用についても、大きな混乱は見られません。これは中国からの宿泊客の割合が1割強あるものの、団体客の利用が元々少ないためです。ただ、2020年2月7日の高松駅では、駅員がマスク姿で接客するなど警戒態勢は続いています。
感染症の拡大は、地域の観光資源や交通網に予期せぬ打撃を与える恐ろしさがあります。一部で影響が限定的とはいえ、現場の不安は計り知れません。一刻も早い事態の沈静化を願うとともに、私たちはデマに惑わされず、正確な情報をもとに地域経済を支える視点を持つべきでしょう。
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