冷凍野菜が外食・中食を救う!エア・ウォーターが鹿児島に新工場を設立し大増産へ

毎日の食卓や外食産業を支える裏側で、今大きな変化が起きています。産業ガス大手として知られるエア・ウォーターは、2020年内に冷凍野菜の生産能力を約3割も引き上げることを決定しました。なんと11億円もの巨額の投資を行い、鹿児島県鹿屋市に最新の工場を新設します。ここでは、主にスーパーの惣菜や飲食店向けとして、需要が急増している「大根おろし」などが製造される予定です。

こうした背景には、現代社会のライフスタイルの変化が深く関係しています。近年は単身世帯や共働き世帯が右肩上がりに増えており、家庭で手軽に食べられるお惣菜や弁当といった「中食(なべしょく・家庭外で調理された食品を自宅で食べること)」の需要が非常に高まっているのです。SNS上でも「仕事帰りに調理済みの惣菜が買えるのは本当にありがたい」「冷凍野菜のクオリティが上がって助かる」といった喜びの声が多数寄せられています。

さらに、深刻な労働力不足に悩む外食業界からの熱い視線も見逃せません。厨房での調理の手間や時間を少しでも減らすため、あらかじめ下処理が施された食材を求める声がこれまで以上に強まっています。今回、エア・ウォーターの食品加工子会社である「トミイチ」が新工場を稼働させることで、カットされたカボチャやジャガイモ、そして大根おろしを年間で合わせて2600トンも加工できるようになります。

じつはトミイチという会社は、業務用の大根おろしにおいて全国で約5割という圧倒的な市場占有率を誇るトップランナーなのです。2018年度の売上高は約85億円にのぼり、現在は主に北海道にある2つの工場で現地の新鮮な野菜を加工しています。今回、遥か南の九州に新たな拠点を設けることには、単なる増産だけではない極めて重要な戦略が隠されています。

その戦略こそが、天候リスクの分散です。近年は地球温暖化などの影響により、予期せぬ天候不順で特定の地域から野菜が調達できなくなるリスクが深刻化しています。北と南の2大拠点を確保することは、企業の安定供給において極めて賢明な判断だと言えるでしょう。このように時代のニーズを先読みし、ピンチをチャンスに変える企業のスピード感には目を見張るものがあります。

エア・ウォーターにとって、北海道を中心とした農業・食品事業はすでに連結売上高の約2割を占める大黒柱へと成長しています。同社はこれを窒素などの産業ガス事業や医療事業と並ぶ主力ビジネスと位置づけており、2021年度には食品事業の売上高を2018年度比で約2割増となる1700億円まで伸ばす野心的な目標を掲げています。人手不足という社会課題を解決するこの取り組みは、今後の日本の食を支える大きな光となるに違いありません。

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