毎日の食卓に欠かせないお米の価格に、今大きな変化が起きています。主食の王様とも言える「コシヒカリ」をはじめとした主要な銘柄の小売価格が、ここにきて軒並み値下がりしているのです。新米が店頭に並び始めた2019年10月頃と比較すると、現在の価格は2%から13%ほども安くなっている状況が見て取れます。お財布に優しいこの動きは、消費者にとって嬉しいニュースと言えるでしょう。
全国の小売店から集められた販売データ「日経POS情報」によると、人気ブランドである北海道産の「ゆめぴりか」の2019年12月における平均小売価格は、5キログラム袋で税抜き2074円となりました。これは新米が出回った2019年10月と比べて103円も安く、前年の同じ時期との比較では9.4%も下落しています。お米の買い控えが続いていた市場にとって、大きな転換期を迎えた印象を受けます。
さらに、知名度の高い新潟県産のコシヒカリ一般品は1941円となり、2019年秋に比べて8.4%も値下がりしました。また、高級ブランドとして知られる魚沼産コシヒカリにいたっては、1割以上も安くなっているのが現状です。例年であれば年末年始に向けてまとめ買いの需要が高まる季節ですが、今シーズンは消費の落ち込みが目立ち、売れ残りを防ぎたい小売店が相次いで値下げに踏み切っています。
SNS上でもこの値下げは大きな話題となっており、「最近お米が安くて助かる」「お気に入りの銘柄が手頃な価格になって嬉しい」といった喜びの声が上がっています。その一方で「以前が高すぎたのでようやく適正価格に戻ったのでは」という冷静な意見も見られました。家計を預かる人々にとって、主食の価格動向は日々の生活を左右する死活問題であり、今回の値下げラッシュに対する世間の関心の高さが窺えます。
ここ数年、政府の手厚い補助金によって家畜が食べる「飼料用米」へと転換する農家が増えた影響で、私たちが口にする主食用の安いお米が出回りにくくなっていました。さらに2019年9月24日頃に日本を襲った台風17号の影響で西日本が不作となり、物流費の上昇も重なった結果、お米の価格は前の年に比べて5キログラム袋で100円から200円ほど値上がりしていたのです。
お米の小売価格はこの5年間で1割から3割ほども上昇しており、多くの店舗で買いやすさの目安となる「5キログラム2000円」のラインを突破していました。東京都内にあるスーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長によると、2019年秋以降はお米の売上額が前年の同じ時期より1割も減ったそうです。主力商品を100円値上げした途端に客足が鈍ったとのことで、急激な高値が消費者の購買意欲を冷え込ませたことは間違いありません。
こうした買い控えの動きに対して、筆者はコメの価値に見合った適正な価格設定と、消費者が買いやすい環境のバランスが重要であると考えます。これ以上の極端な買い控えは、生産者にとっても流通業者にとっても大打撃になりかねません。小売店が在庫を抱えるリスクを避けるために特売を増やす動きは、一時的に消費者を呼び戻す起爆剤として、非常に理にかなった防衛策と言えるのではないでしょうか。
農林水産省の発表では2019年産米の収穫量は平年並みとされており、本来であれば需要と供給のバランスは保たれるはずでした。しかし、想定以上に消費が落ち込んだため、このままでは市場にお米が余ってしまう「供給過剰」に陥る恐れがあります。実際に、すでに複数銘柄で年末年始から思い切った値下げを行う大手スーパーもあり、生き残りをかけた価格競争が激化しています。
2019年度末にあたる2020年3月に向けて、今後は在庫処分を目的としたさらなる安売り店舗が増える見通しです。コメ卸業者が量販店向けの卸価格を引き下げる動きも出始めており、流通価格は今後さらに下がっていくでしょう。美味しいお米が手頃な価格で手に入るこの絶好のチャンスに、お気に入りの銘柄を毎日の食卓に取り入れて、日本の豊かなお米文化を応援していきたいものですね。
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