中国EV市場に黒船襲来!テスラ上陸と外資系電池解禁で始まる地場メーカー生き残りデスマッチの全貌

電気自動車の世界最大市場である中国で、今まさに巨大な地殻変動が起きています。2020年1月7日、アメリカのEV大手テスラが上海の新工場で、中国製「モデル3」の華やかな納車イベントを開催しました。最高経営責任者のイーロン・マスク氏も登壇し、歓喜のダンスを披露したことでSNS上は大盛り上がりです。「ついに中国製テスラが街を走るのか」「500万円を切る価格設定は衝撃的すぎる」といった驚きの声が、世界中のネット上を駆け巡っています。

今回の新型車は、政府からの購入支援金である「新エネルギー車(NEV)補助金」の対象に選ばれました。NEVとは、電気自動車やプラグインハイブリッド車など、環境に優しい次世代車の総称です。テスラが破格の安さで販売される事実は、中国の自動車業界に強烈な一撃を与えました。それ以上に業界を震撼させているのが、中国政府による大転換です。これまで市場から排除されていた海外の電池メーカーに対して、ついに参入の許可が下りたのです。

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ホワイトリスト撤廃がもたらした海外勢の逆襲

中国政府は2019年12月、補助金が支給される対象車の最新リストを公開しました。そこにはパナソニックや韓国のLG化学の電池を積んだテスラに加え、トヨタやメルセデス・ベンツのモデルも名を連ねています。これまでは「ホワイトリスト」と呼ばれる優良企業名簿に登録された中国企業製の電池を使わなければ、補助金が出ない仕組みでした。しかし政府は2019年6月にこの事実上の参入障壁を撤廃し、海外勢の技術を呼び込む方針へ舵を切ったのです。

この決定に対し、SNSでは「中国製電池の殿様商売が終わる」「これでEVの安全性が高まるなら大歓迎だ」といったユーザーの現実的な意見が目立ちます。政府の狙いは、あえて強力なライバルを市場に投入することで、甘やかされてきた国内企業の技術力を底上げすることにあります。まさに「獅子の子落とし」とも言える過酷なスパルタ政策が始まったわけですが、こうした荒療治が必要となった背景には、国内電池業界が抱える深刻な闇がありました。

相次ぐ発火事故と補助金バブルの終焉

手厚い保護政策のおかげで、中国のEV販売台数は2013年の1万5000台から、2019年には120万台へと爆発的に増加しました。電池の年間搭載量も5年連続で世界一に輝いています。しかし、急激な市場拡大は質の低いメーカーの乱立を招きました。そのツケは「安全性」という最悪の形で露呈します。2019年5月から2019年8月までのわずか数ヶ月間で、中国国内では79件ものEV発火事故が発生し、その6割が電池の不具合によるものでした。

目先の補助金欲しさに、安全テストを十分に行わないまま粗悪な電池を出荷したメーカーが後を絶たなかったのでしょう。人の命を預かる自動車において、このような手抜きは断じて許されるべきではありません。事態を重く見た政府は、2021年までに補助金支給を完全に打ち切る方針を固めました。国からの援助という「補助輪」が外されることで、自動車メーカー側も信頼性の低い地場メーカーを見限り、実績のある大手へ発注を切り替え始めています。

生存率4割の戦場を生き抜く勝者は誰か

現在、中国の電池市場は完全に二極化しています。最大手のCATL(寧徳時代新能源科技)が5割以上のシェアを握り、2位のBYDと合わせると2社だけで市場の7割を独占する状態です。その一方で、かつて世界トップ10に入っていた有名企業が破産や深刻な資金難に追い込まれています。2016年に約150社もあった電池メーカーは、すでに約60社にまで激減しました。ここへさらに、生産体制を増強したパナソニックや韓国勢が容赦なく攻め込んできます。

今後、技術力のない有象無象の地場メーカーは冷酷に淘汰されていくでしょう。しかし、これは中国のEV産業が「本物」になるための避けて通れない試練です。世界の競合と互角に渡り合い、環境の変化にしなやかに対応できる真に強靭な企業だけが、このデスゲームを生き残ることができます。外資の開放によって、中国のEV市場は名実ともに世界で最も熱く、そして最も洗練された戦場へと進化を遂げるに違いありません。

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