光学ガラスのパイオニアであるHOYAが、2020年2月4日に2019年4月から12月期の連結決算を発表いたしました。その内容によると、純利益は前年の同じ時期と比べて2%増加し、なんと944億円を記録したそうです。この数字は同期間における過去最高の利益を塗り替える快挙であり、最先端のハイテク産業を支える同社の強みが見事に証明された形となりました。SNS上でも「これだけ景気の波がある中で最高益を出すのは本当に素晴らしい技術力だ」と、驚きと称賛の声が多数寄せられています。
今回の輝かしい実績を牽引したのは、IT社会の基盤を支える半導体分野の好調さです。特に半導体の製造に不可欠な「マスクブランクス」という製品が、業績の押し上げに大きく貢献しました。マスクブランクスとは、半導体の回路パターンを転写する際の原版となる、極めて平坦なガラス基板のことです。私たちは普段スマートフォンやパソコンを当たり前のように使っていますが、それらの性能を左右する心臓部が、まさにこのHOYAの技術によって支えられているといっても過言ではありません。
さらに詳しく見ていくと、技術の進化が同社の追い風になっていることが分かります。近年、半導体メーカー各社は「微細化」と呼ばれる、回路をより細かく高密度に作り込む技術への投資を急速に拡大しています。この最先端プロセスに必須となるのが「EUV(極端紫外線)」に対応した次世代のマスクブランクスです。非常に短い波長の光を使うため高度な製造技術が求められますが、同社のEUV対応製品の売上高は前年同期の2倍近くまで膨れ上がっており、市場での独占的な強さが光っています。
情報通信事業全体を見渡しても、部門利益は前年同期比で10%増の682億円と非常に好調な推移をたどりました。世界的なデータセンターの設備投資が再び活発化したことで、記憶装置に使われるハードディスクドライブ(HDD)用のガラス基板も需要が伸びています。加えて、中国を中心にスマートフォンなどの画面に使われる有機ELパネルの開発が加速したことも、パネル製造用マスクの販売増加につながりました。多方面からの需要を確実に取り込むビジネスモデルは実に見事です。
一方で、私たちの生活に身近な医療やヘルスケアを扱うライフケア事業は、利益が532億円と前年並みの水準にとどまりました。白内障の治療に用いられる眼内レンズ部門では、魅力的な新商品が売上を牽引するという明るい兆しが見られます。しかし、日本国内におけるメガネレンズの販売に関しては、2019年10月に実施された消費税の増税による買い控えの影響を大きく受けてしまい、一時的に落ち込む結果となりました。
また、将来に向けた投資が一時的に利益を圧迫した側面もあります。具体的には、ベトナムに建設した新しい工場を本格的に稼働させるための初期費用がかさんだことが挙げられます。しかし、これらは将来の需要増に備えるための前向きなコストであるため、決して悲観する必要はないでしょう。一時的な減益要因を抱えつつも、全体として過去最高益をしっかりと維持できている点に、HOYAという企業の底力が強く感じられます。
HOYAは決算と同時に、これまで未定としていた2020年3月期の通期業績予想も公表しました。売上高は前の期と比べて4%増の5860億円、純利益はわずかに増加して1230億円となる見通しを示しています。ただ、この予測が市場の関係者たちが事前に期待していた平均的な予想(QUICKコンセンサス)に届かなかったため、発表直後の株式市場では失望感が広がり、株価が一時前日比で6%も急落する場面が見られました。
株価の一時的な下落に対しては、SNS上で「期待値が高すぎただけで業績自体はすこぶる健全」「絶好の買い場になるかもしれない」といった冷静な分析や前向きなコメントが目立っています。市場のハードルが高すぎたゆえの株価下落ですが、EUVをはじめとする先端技術のシェアを握るHOYAの優位性は揺るぎません。短期的な株価の浮き沈みに惑わされることなく、世界をリードするその高い技術力と長期的な成長性に、今後も大きな期待を寄せていきたいところです。
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