【AGC決算】新型肺炎で自動車業界に激震?中国工場の生産再開の行方と2020年業績予想の裏側

世界的な広がりを見せる新型コロナウイルスによる肺炎は、日本のものづくり産業にも影を落とし始めています。ガラス大手であるAGCの島村琢哉社長は、2020年2月5日に開催された決算記者会見の席で、現在の緊迫した状況を明かしました。春節、つまり中国の旧正月による大型連休に合わせて稼働を停止している現地での生産事業について、今後の再開時期は「大手の自動車メーカーなど顧客の状況に応じて決める」と言及したのです。

島村社長によれば、主要な取引先である大手自動車メーカーは2020年2月9日まで休業を延長する見通しとのことです。サプライチェーン、いわゆる部品の調達から製造、販売に至るまでの一連の供給ネットワークにおいては、買い手側の予定が確定しなければ身動きが取れません。このトップの慎重な姿勢に対して、SNS上では「サプライチェーンが止まるとドミノ倒しのように響く」「先行きが見えなくて現場は大変そうだ」といった、懸念や共感の声が相次いでいます。

また、同社の宮地伸二最高財務責任者(CFO)は、中国ビジネスがグループ全体に占める規模を具体的な数値で示しました。現在、現地にはグループ全体の約11%に相当する約6000人の従業員が在籍しています。さらに売上高は約1100億円に達し、全体の約8%を占める重要拠点です。宮地CFOは、今回のアウトブレイクが長引いた場合に影響を被るセグメントとして、テレビやスマホの画面に使われる「ディスプレー関連」と「自動車関連」の2分野を挙げました。

一方で、暗いニュースばかりではありません。AGCが同日に発表した2020年12月期の連結業績予想では、最終的な儲けを示す純利益が前期比55%増の690億円に急増する見込みです。これは、液晶用ガラス基板を扱う電子部門や、暮らしを支える化学品部門の収益が大きく伸びるためです。売上高は2%増の1兆5500億円、本業の稼ぎを意味する営業利益は18%増の1200億円と、非常に力強い数字が並んでいます。

編集部の視点としては、目先の感染症リスクに対する警戒を怠らない一方で、本業の構造改革や電子分野での成長を着実に成果へと繋げている同社の底力を強く感じます。中国市場の停滞は自動車業界全体にとって大きな試練ですが、AGCの多角的な事業ポートフォリオがどれほど盾となるのか注目したいところです。今後の推移を見守る必要がありますが、強気な通期見通しを掲げた同社の決断は、不安が広がる市場に一定の安心感を与えたのではないでしょうか。

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