現在、世界中を震撼させている新型コロナウイルスの感染拡大ですが、隣国である中国の経済活動にも深刻な影を落としています。現地に進出している数多くの日系企業も、かつてない異例の事態に直面しているようです。人事労務支援を行うコチコンサルティングが、2020年02月04日の日本時間午後02時までに在中日系企業279社から得た最新のアンケート結果が、驚きの実態を物語っています。なんと、全体の43%にのぼる企業が、現地スタッフの業務を完全にストップさせていることが判明したのです。
多くの省や直轄市では、感染拡大に歯止めをかけるため、春節の連休が明けた後も2020年02月09日まで休業を延ばすよう、あるいは出勤を手控えるよう異例の要請を出しています。この要請に伴い、工場の稼働やオフィスワークが完全に停滞する形となりました。SNS上では「現地拠点が動かず、日本側への影響も避けられない」「サプライチェーンの寸断が本当に恐ろしい」といった、ビジネスパーソンたちの悲痛な声や危機感を募らせる書き込みが相次いでおり、事態の深刻さがうかがえます。
一方で、注目したいのはリモートワークの実施状況です。全員に在宅勤務を指示している企業は、わずか16%に留まりました。これほどテクノロジーが発展した現代において、なぜ在宅への移行が進まないのでしょうか。現地の金融機関で働くスタッフからは、情報を厳重に管理しなければならない関係上、端末や重要書類をオフィス外へ持ち出すことが不可能であるというリアルな声が届いています。これはいわゆる「情報セキュリティ(機密情報の漏洩を防ぐ安全対策)」の壁が立ちはだかっている状態と言えます。
このように、顧客データの保護やサイバーリスクへの警戒から、持ち出し厳禁のルールを定めている企業は決して少なくありません。テレワーク環境の整備が追いつかないまま、やむを得ず業務停止を選ばざるを得なかった背景には、こうした防衛策のジレンマがあるのでしょう。一概に「家で仕事をすればいい」と言えないのが、現代ビジネスの難しいところです。ネット上でも「セキュリティの問題は盲点だった」「急に在宅なんて無理だよね」と、企業の苦渋の決断に理解を示す意見が見られます。
さらに興味深いのは、日本人駐在員への対応です。一時帰国を命令した企業が3割強であるのに対し、半数を超える55%の企業は帰国指示を出していません。中国人などの現地スタッフがお休みとなる中で、顧客への窓口対応や、目まぐるしく変わる現地のインフォメーション収集を維持するため、日本人の管理職が現場に踏みとどまって孤軍奮闘している構図が浮かび上がります。異国での緊張感ある対応には、本当に頭が下がる思いです。
気になる休業明けの見通しですが、回答した企業の57%が、遅れを取り戻すための急激な繁忙期を迎えると予測しています。しかしその一方で、36%の企業は「サプライチェーン」の乱れによって生産が完全にストップしてしまうのではないかと危惧しているのです。ここで言うサプライチェーンとは、製品の原材料の調達から製造、在庫管理、そして最終的に消費者の元へ届くまでの「供給網(一連のつながり)」を指します。どこか一つの歯車が狂うだけで、すべての流れが止まってしまいます。
コチコンサルティングの中内重郎董事長が語るように、企業にとって先々の計画が非常に立てづらい、五里霧中の状態がしばらく続くことは間違いありません。私個人の意見としては、今回のような有事において、日系企業の「リスクマネジメント(危機管理)」のあり方が激しく問われていると感じます。普段からの業務デジタル化や、セキュリティを担保したリモートワーク体制の構築、そして特定の地域に依存しない供給網の分散化は、今後の企業の存続を左右する最大のテーマになるでしょう。
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