日本の自動車産業を牽引してきた日産自動車が、大きな岐路に立たされています。2020年02月13日、同社は2019年04月から12月期における連結決算を発表しました。その記者会見の席上で、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の口から語られたのは、予想を遥かに上回る厳しい現状だったのです。今回の業績下方修正をもたらした最大の要因について、内田社長は「販売台数が想定を下回ったことに尽きる」と、危機感を露わにしました。
日産はこれまで、値引きを抑えてブランド価値を高める「販売の質の向上」を掲げてきました。実際に1台あたりの利益率は改善傾向にあるものの、全体の販売台数を押し上げる起爆剤にはなっていません。内田社長も、この落ち込みが想定を超えるレベルであったことを率直に認めています。SNS上では「かつての技術の日産に戻ってほしい」「魅力的な新型車がもっとあれば」といった、ファンからの切実な応援と懸念が入り混じった声が数多く飛び交いました。
固定費削減の強化と追加の構造改革へ
本来のシナリオでは、2019年を底にして2020年以降は再び成長軌道に乗るはずでした。しかし、内田社長は「もう少し時間がかかる」と述べ、2021年03月期も厳しい状況が継続するという見通しを示しています。こうした逆風を打破するため、会社側は徹底的な「固定費」の削減、つまり売上に関わらず毎月必ず発生する人件費や工場の維持費などの見直しに着手しました。これまでの延長線上ではない、踏み込んだ改革が必要不可欠な局面です。
市場が最も注目しているのは、工場閉鎖や人員削減といった追加の構造改革、いわゆる「リストラ」の動向でしょう。内田社長は、販売台数の大幅な減少を受けて、さらに一歩踏み込んだ対策を実行する可能性を示唆しました。すでに発表されている人員削減計画は着実に進めているとしつつも、日産の核となるコア事業をどう見極めるかが現在の重要な課題です。具体的な新計画は、2020年05月に見直される中期経営計画で明かされる予定となっています。
経営責任と無配への決断、そして日産の未来への提言
株主にとって大きな衝撃となったのは、期末の「無配(株主への配当金をゼロにすること)」という決定です。内田社長はこの判断を非常に重く受け止めており、経営陣の責任として役員報酬の削減なども含めた検討を進める姿勢を示しました。編集部としては、今回の無配やリストラの検討は、過去の拡大路線の歪みを膿として出し切るために避けて通れない試練だと捉えています。今こそ痛みを伴う改革を断行し、次世代へ向けた投資に集中すべきです。
日産が再び輝きを取り戻すためには、単なるコストカットにとどまらず、消費者が胸を躍らせるような革新的なモビリティを提示できるかが鍵を握るでしょう。2020年は日産にとって、まさに再生への真価が問われる1年になりそうです。
コメント