自動車業界に激震が走っています。日産自動車が2020年2月13日に発表した2019年10〜12月期の連結決算で、最終損益が260億円の赤字に転落したことが判明しました。前年の同じ時期は704億円の黒字だったため、その落ち込みの激しさが伺えます。この四半期ベースでの赤字は、世界的な金融危機をもたらしたリーマン・ショック以来、実に11年ぶりの事態となります。
SNS上では「かつての技術の日産に戻ってほしい」「カルロス・ゴーン氏が去った後の混乱が業績に直結しているのではないか」といった、先行きを不安視する声や厳しい意見が多く飛び交っています。ファンが多い企業だからこそ、この苦境に対する世間の関心は非常に高いようです。2019年12月に就任したばかりの内田誠社長兼CEOは、まさに荒波の中での船出を余儀なくされています。
今回の業績悪化の背景には、アメリカ市場でのブランド力低下があります。これまでの日産は「販売奨励金(インセンティブ)」に頼った販売を続けていました。これはディーラーに対して支払う一種の値引き原資やボーナスのことで、これに依存すると目先の台数は稼げてもブランド価値が傷つき、奨励金を減らした途端に車が売れなくなるという悪循環に陥るリスクがあります。
さらに深刻なのが、工場が抱える「生産能力の余剰」です。現在の日産は年間700万台以上を作れる設備を持っていますが、実際の年間販売数は500万台規模に留まります。2019年3月期の工場稼働率は69%にまで低迷しており、ライバルであるトヨタ自動車の84%やホンダの87%と比較しても、その効率の悪さは一目瞭然です。車が売れなくても工場の維持費はかかるため、これが経営を圧迫しています。
そして、これまで日産の屋台骨を支えてきた中国市場にも暗雲が立ち込めています。日産は世界販売の3割を中国に依存しており、利益の依存度に至っては4割を超えています。そんな中、現在猛威を振るっている新型肺炎による工場停止の影響が懸念されていますが、今回の業績予想にはまだその影響が織り込まれていません。水面下でのリスクは、数字以上に膨らんでいる可能性があります。
これを受けて日産は、2020年3月期の純利益見通しを650億円へと下方修正し、期末の配当をゼロにすることを決めました。私は、この減配という決断は株主にとって苦渋の選択であるものの、今の固定費負担の重さを考えれば、出血を止めるための痛烈な一手として評価すべきだと考えます。企業の体力を回復させるためには、過去の拡大路線と決別する強い覚悟が必要です。
内田社長は、2022年度までに世界で1万2500人の人員削減を進める方針に加え、さらなる徹底的なコストカットを行うと表明しました。2020年5月には新たな中期経営計画が発表される予定です。かつてない逆風にさらされる日産ですが、技術力というDNAを活かし、スリムで強い企業へと生まれ変わるリバウンドのシナリオに期待を寄せたいところです。
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