自動車業界に激震が走っています。日産自動車九州(福岡県苅田町)は、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、中国製部品の一部を調達することが困難になりました。これを受けて、完成車の生産ラインを一時的にストップさせるだけでなく、稼働日の生産時間も短縮するという異例の措置に踏み切ります。通常は昼夜2直体制で1直あたり8時間労働ですが、2020年2月18日から2020年2月21日までの期間は1直7時間に短縮され、1日あたり2時間の生産調整が行われる見込みです。
具体的な生産停止のスケジュールとしては、2020年2月14日に全2ライン、続く2020年2月17日には1ラインで実施される予定となっています。さらに、隣接する日産車体九州も同様の理由から、2020年2月15日と2020年2月22日の生産停止を決定しました。両社ともに、2020年2月24日以降の稼働については今後の状況を見て判断するとしており、先行きが見えない不安が広がっています。これにはSNS上でも「ついに実体経済への影響が出始めた」「車が買えなくなるのでは」と、多くの心配を寄せる声が溢れています。
ここで注目すべきは、日産九州の地元調達率が約6割に達しているという点でしょう。しかし、ピラミッド型のサプライチェーン(部品の調達から製造、配送までの一連の供給網のこと)において、2次や3次といった下請けの取引先が、樹脂やバネなどの細かな部材に中国製を採用しているケースが多発しているのです。結果として、数十件もの調達に支障が生じる事態となっています。現地企業の操業停止や日本への輸出遅延が、日本の基幹産業を直撃する形となりました。
日産九州の1次取引先である部材メーカー自体は、現時点で調達に問題はないものの、親元の動きに合わせて2020年2月14日と2020年2月17日にラインを止めることを余儀なくされています。他社への納入で急場をしのぐ構えですが、関係者からは「生産調整が長引けば、従業員の雇用維持にかかる負担が重くなる」と悲痛な声が上がっており、現場の焦りは隠せません。一方で、トヨタ自動車九州やダイハツ九州は、2020年2月12日時点で生産調整の予定はないと発表しています。
福岡県によると、北部九州における年間自動車生産台数は2018年度に過去最高の143万6000台を記録し、県内の関連企業は560社にものぼります。今回の問題は、九州の主力産業そのものを揺るがしかねない一大事と言えるでしょう。九州経済産業局も「半導体など、他の製造業への波及も注視が必要」と警戒を強めています。グローバル化が進んだ現代だからこそ、一国の停滞が世界に連鎖するリスクを痛感させられます。国内サプライチェーンの再構築を含め、今こそ抜本的な対策を急ぐべきではないでしょうか。
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