外国為替市場が大きく揺れ動いています。これまで緩やかな動きを見せていたユーロですが、足元では下落基調が鮮明になってきました。2020年2月13日の東京市場において、対円でのユーロ相場は1ユーロ=119円30銭前後を記録し、約3カ月ぶりとなる円高・ユーロ安の水準まで落ち込んでいます。SNS上でも「ユーロがどこまで下がるのか不安」「ヨーロッパ旅行の計画を見直すべきか」といった、驚きや困惑の声が数多く上がっており、市場の関心は最高潮に達している状況です。
今回のユーロ売りを加速させた最大の引き金は、世界を震撼させている新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大です。中国湖北省が2020年2月13日に、感染者の公表対象を従来の厳格な基準から、医師の判断による臨床診断へと広げる方針を発表しました。それまでは感染拡大のペースが鈍化しているという見方が優勢だっただけに、事態は一変します。収束への期待が脆くも崩れ去ったことで投資家心理が冷え込み、世界経済、特に中国と結びつきの強い欧州への懸念が一気に噴出しました。
さらに深刻なのは、欧州経済がウイルスの影響を強く受ける前から、すでに体力を失っていたという点でしょう。2020年2月上旬に公表された2019年12月のドイツ鉱工業生産(製造業や鉱業の生産動向を示す指標)は、市場の予想を大きく下回る結果となりました。専門家からは「新型肺炎の猛威が本格化する前から欧州の景気は冷え込んでおり、今後発表される2020年1月や2月の経済データは一段と悪化する可能性が極めて高い」との指摘も出ており、先行きの暗雲は増すばかりです。
メディアの視点として、今回のユーロ安は単なる一時的な調整ではなく、構造的な危機の始まりだと捉えています。中国という巨大な市場に深く依存してきた欧州、とりわけドイツの製造業が受けるダメージは、私たちが想像する以上に甚大です。景気がここまで冷え込むと、欧州中央銀行(ECB)がさらなる追加の金融緩和に踏み切らざるを得ない局面がやってくるのではないでしょうか。金利がさらに下がれば、利回りをもぎ取れないユーロは投資家から見放され、売り圧力がさらに強まるはずです。
市場では、このユーロ安基調が当面の間は継続するという見解が主流を占めています。今後発表される各種の経済指標次第では、中央銀行がマイナス金利の幅をさらに広げる「深掘り」への観測が現実味を帯びてくるでしょう。世界的なリスク回避の動きが強まる中、安全資産とされる円が買われやすい地合いも続いています。実体経済の傷跡が数字として証明されるにつれて、為替市場のユーロ売りはもう一段加速していくと考えられ、私たちはしばらくこの緊張感ある相場と向き合うことになりそうです。
コメント