エンシュウが2020年3月期業績を下方修正!新型肺炎と米中摩擦が工作機械ビジネスに与える深刻な影響

静岡県に拠点を置く工作機械の老舗メーカーであるエンシュウが、今後の業績見通しを急きょ見直す決断を下しました。2020年2月13日、同社は2020年3月期の連結純利益が前の期に比べて16%減少し、13億5000万円にとどまる見込みであると発表したのです。これは従来の予想から2億5000万円も下振れする計算となり、順調だった利益が減少に転じるのは3期ぶりという異例の事態を迎えています。

今回の業績下方修正を招いた主な要因は、世界を揺るがしている2つの大きな障壁にあります。1つは、長期化する米中貿易摩擦によって、中国国内の製造業が新しい設備にお金をかける動きを控えている点です。そしてもう1つが、足元で急速に拡大している新型肺炎(新型コロナウイルス)の感染拡大。これらのダブルパンチによって、同社の稼ぎ頭である「工作機械」の売り上げが、想定していた時期よりも後ろへずれ込む見通しとなりました。

工作機械とは、金属などの素材を削ったり穴を開けたりして、自動車の部品や精密機器といった様々な製品を製造するための「機械を作る機械」のことです。別名「マザーマシン(母なる機械)」とも呼ばれており、モノづくりの基盤を支える重要な存在。それだけに、中国の工場が動きを止めたり投資を控えたりする動きは、エンシュウのような専門メーカーの経営にダイレクトかつ大きな打撃を与えてしまう性質を持っています。

現地での具体的な状況に目を向けると、予断を許さない緊迫した状態が今も続いているようです。中国の山東省青島市に構える工作機械の製造拠点と販売会社では、新型肺炎の影響で工場の操業再開が遅れていましたが、それぞれ2020年2月11日と2020年2月13日にようやく稼働へとこぎ着けました。しかしながら、いまだに江蘇省蘇州市にある支店については再開の目途が立っておらず、現場の混乱は収まっていません。

このニュースに対し、SNS上では「製造業のサプライチェーンへの影響が本格化してきた」「工作機械の動きは景気の先行指標だから、今後の世界経済全体が心配だ」といった、懸念の入り混じった声が多数寄せられています。やはり最前線でモノづくりを支える企業の減益報道は、多くの市場関係者やビジネスパーソンにとって、今後の世界的な景気減速を予感させるショッキングな出来事として受け止められている印象です。

編集部としては、今回の事態は一企業の不調にとどまらず、グローバル社会が抱える脆さが露呈した結果だと捉えています。新型肺炎という予測不能なリスクに対し、いかにサプライチェーン(部品の調達から製造、販売までの一連のつながり)を分散させ、リスクを回避するかが今後の製造業の命題になるでしょう。歴史ある技術力を持つエンシュウだからこそ、この未曾有の危機を乗り越える次なる一手に期待したいところです。

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