オーディオファンに長年愛されてきた名門ブランドに、いま大きな激震が走っています。音響機器大手のオンキヨーは2020年2月14日、2020年3月期の連結最終損益が56億円の赤字に転落する見通しであることを明らかにしました。期初には30億円の赤字と予想されていましたが、そこからさらに損益が悪化する形です。前年の2019年3月期には3400万円の黒字を確保していただけに、今回の下方修正は多くの市場関係者に大きなショックを与えています。
今回の業績悪化を招いた最大の要因は、米国企業へ計画していた家庭用オーディオ事業の売却が中止に追い込まれたことです。これに伴い「営業債務」と呼ばれる、原材料の仕入れ先などに対して将来的に支払うべき代金の決済に遅延が発生してしまいました。支払いが滞ったことで、一部の取引先から取引条件の変更を突きつけられる事態に発展しています。結果として製品づくりに必要な部品の調達がスムーズにいかなくなり、生産活動そのものが停滞してしまいました。
こうした生産の遅れは、同社の業績に直撃しています。売上高の予想は、前回提示していた数値から70億円も引き下げられ、前期比43%減となる250億円にとどまる見込みです。同日に発表された2019年4月から2019年12月までの9カ月間の決算を見ても、売上高は前年同期比45%減の183億円と大きく落ち込んでいます。さらに、最終的な損益も41億円の赤字を記録しており、前年同期の4億円の赤字から傷口が大幅に広がっている状況です。
さらに同社は、固定費を削減して経営をスリム化するために「構造改革費用」を特別損失として計上しました。これは希望退職の募集や、非効率な拠点の集約を推し進めるために生じる一時的なコストのことです。今回の事態に対してSNS上では、「憧れのオーディオブランドだったから本当にショックだ」「なんとかこの危機を乗り越えて素晴らしい音を届け続けてほしい」といった、往年のファンからの悲痛な声や熱いエールが数多く飛び交っています。
編集部の視点としては、時代の変化に伴うスマホでの音楽視聴へのシフトが、据え置き型オーディオを主力とする同社の苦境の背景にあると感じてやみません。しかし、オンキヨーが培ってきた音響技術の高さは世界トップレベルであり、ここで潰えさせてはならない日本の財産です。現在は構造改革という非常に苦しいトンネルの中にいますが、この痛みを伴う改革を機に、新たな時代にマッチした革新的な音楽体験を再び提案してくれることを期待しています。
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