【新型肺炎】中国で工場再開もフル操業は遠く…マツダやブリヂストンが稼働延期に追い込まれた深刻な舞台裏

新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる中国で、2020年2月10日、長らく休止していた各地の企業が半月ぶりに動き出しました。しかし、かつての活気を取り戻すには程遠いのが現状です。春節(旧正月)の休暇前のような労働力を確保することは極めて難しく、日本を代表する企業の間でも明暗が大きく分かれています。SNS上では「サプライチェーンが止まると日本の生活にも直撃する」「現地で働く人たちの安全が最優先だけど、経済へのダメージが恐ろしい」といった、今後の生活や世界経済への影響を懸念する声が相次いでいます。

今回の操業再開において、最大の障壁となっているのが致命的な「人手不足」と「物流の停滞」です。大手タイヤメーカーのブリヂストンは、2020年2月10日に予定していた江蘇省無錫市などの工場再開を直前で断念しました。さらにマツダやいすゞ自動車も追随して操業延期を発表しています。自動車産業のように数万点もの部品を組み立てるビジネスモデルでは、たった一つの部品が欠けただけでもすべての製造ラインがストップしてしまいます。こうした「サプライチェーン(部品の調達から製造、販売に至る一連の供給ネットワーク)」の寸断が、各社の足を引っ張る形となりました。

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厳格すぎる「防疫基準」と移動制限がもたらす大打撃

なぜ、これほどまでに人が集まらないのでしょうか。その背景には、地方政府による厳格な移動制限があります。多くの都市で、感染者が多発する地域からの労働者の立ち入りを事実上禁止する措置が取られているためです。さらに、工場を稼働させるための条件も日ごとに厳格化しています。日立建機が直面したように、「全社員のマスク着用」や「1日2回の検温」だけでなく、万が一の事態に備えた「隔離部屋の設置」まで求められるなど、企業の負担は増すばかりです。これらをクリアして当局の認可を得るには、膨大な時間が必要となります。

この難局を乗り切るため、現地では驚くべき強硬手段に出る企業も現れました。中国の電気自動車大手である比亜迪(BYD)は、従業員を敷地外へ出さない「封鎖措置」を敢行し、外界からのウイルス流入を力技で防いでいます。しかし、それでも帰省先から戻れたスタッフは半分に満たないと言います。一方で、ソニーや医薬品のエーザイのように、数ヶ月分の在庫をあらかじめストックしていた企業は無事に再始動を果たしました。日頃からのリスク管理や、不測の事態を見据えた在庫戦略の重要性が、今回の危機で浮き彫りになったと言えるでしょう。

編集部EYE:目先の再開にとらわれず「脱・一極集中」の構造改革を

多くの企業が2020年2月17日ごろからの本格稼働を目指していますが、先行きは決して楽観視できません。人が動けばそれだけ感染リスクは高まり、再び現場が閉鎖に追い込まれるリスクも常に隣り合わせだからです。私たちは今回の事態を、単なる「一時的な操業トラブル」として片付けるべきではありません。特定の国に生産拠点を過度に依存することの危うさを認識し、今こそ供給ルートを分散させる構造改革へ本気で取り組むべき局面に来ているのではないでしょうか。グローバル企業の真のリスクマネジメント能力が、今まさに試されています。

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