日本国内で新型コロナウイルスの足音が確実に近づいています。日本感染症学会が、国内ですでに散発的な流行が始まっている可能性を指摘し、社会に緊張が走りました。SNS上でも「いつの間にか身近に迫っていて怖い」「これからの生活はどうなるのか」といった不安の声が続出しています。人から人への感染や、自覚症状のない感染者が国内で見つかった現状を鑑みると、ウイルスは各地へ静かに拡散していると言えるでしょう。
これまで実施されてきた水際対策は、ウイルスの侵入を遅らせる上で一定の成果を収めました。しかし、すでに国内へ入り込んでいる段階においては、その効果も薄れてしまいます。かつて2009年に関東地方を中心に猛威を振るった新型インフルエンザの際にも、水際での封じ込めにこだわりすぎた結果、国内での対応が遅れるという苦い経験がありました。今こそ、その教訓を活かすべき局面なのです。
水際での検疫を強化しすぎると、かえって危険な反作用が生まれます。まず「完全に防げる」という誤解を国民に与え、いざ流行した際に大きなパニックを招きかねません。さらに、空港での検疫や濃厚接触者の追跡調査に保健所や医療従事者を割きすぎると、通常の医療体制が回らなくなります。不安に駆られた軽症者が病院へ殺到すれば、本当に治療が必要な重症患者への対応が遅れるという、最悪の医療崩壊に繋がりかねません。
実際にSNSでは、一部の企業が社員に対して感染していないことを証明する「陰性証明書」の提出を求めているという噂が流れ、混乱が広がっています。こうした動きは、医療機関の負担を無駄に増やすだけです。今求められているのは、感染の拡大を力ずくで止めることではなく、ウイルスが広がっても適切かつ迅速に治療を提供できる国内の受け入れ態勢を整えることに他なりません。
医療崩壊を防ぐカギとこれからの備え
厚生労働省は、各地の二次医療圏(救急医療などを完結して提供できる地域単位)に、専門の相談窓口や外来を設置するよう自治体へ通知しました。今回は過去の反省を踏まえ、一般の患者が殺到しないよう「帰国者・接触者外来」という名称が使われています。今後はさらに踏み込み、地域の小さなクリニックでも、動線を分けるなどの感染対策を施した上で、患者を受け入れられるような事前の準備と物資の確保が必須となるでしょう。
将来的なワクチン開発を見据えた、接種の優先順位に関する議論も急務です。私は、一律に過去の基準を当てはめるのではなく、今回のウイルスの特性を冷静に見極めるべきだと考えます。感染症対策の本質は、社会の不安を煽ることではなく、リスクの高い人を確実に守る仕組み作りにあります。過去の教訓を無駄にせず、柔軟に戦略を国内対策へとシフトさせることが、私たちの命を救う道につながるはずです。
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