近年、毎年のように私たちを襲う豪雨や猛暑。これら異常気象のニュースを目にするたび、地球環境の行く末を案じる方は多いのではないでしょうか。実は、ビジネスの世界でもこの「気候変動」への関心が急速に高まっています。2019年5月29日、私たちの年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が発表した調査結果は、まさにその変化を裏付けるものでした。
GPIFが2019年1月から2月にかけて、東証1部上場企業2129社を対象に行ったアンケートによると、回答した604社のうち約半数が、ESG活動の主要テーマとして「気候変動」を挙げたのです。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、企業の持続的な成長を測る重要な指標です。この調査で「気候変動」を選んだ企業は45.5%に達し、前年の調査から9.2ポイントも急伸しました。
もちろん、企業の組織運営の健全性を示す「コーポレートガバナンス」は依然としてトップの71.2%を占めていますが、一方で「ダイバーシティ(多様性)」への関心が微減するなど、企業の優先順位に変化が見られるのは興味深い点です。SNS上でも当時、「ようやく日本企業も環境問題に本腰を入れ始めたか」「投資家の目が厳しくなった証拠」といった、期待と冷静な分析が入り混じった声が多く上がっていました。
この流れを後押しするように、金融庁と経済産業省が主導する企業連合には、発足時点ですでに164もの機関が参加を表明しています。これは、環境問題への取り組みを積極的に情報開示することが、中長期的な「投資マネー」を呼び込むための必須条件になりつつあることを示唆しています。透明性の高い情報開示が進めば、環境に配慮する優良企業に資金が集まる好循環が生まれるかもしれません。
私自身、コラムニストとして多くの企業動向を見てきましたが、利益追求と環境保護はもはや対立する概念ではなく、両輪で回すべきものになったと強く感じます。気候変動リスクを直視しない経営は、投資家から「持続可能性がない」と判断されかねない時代なのです。この2019年の調査結果は、日本企業がグローバルな潮流にどう向き合っていくか、その覚悟が問われ始めた転換点として記憶されるべきでしょう。
コメント