【サイボウズ株急落】好調なのにナゼ売られる?2019年の業績修正から見る投資家の心理とPER100倍超えの真実

2019年06月27日の東京株式市場において、IT企業の雄であるサイボウズの株価が大きな注目を集めました。これまで堅調な右肩上がりを続けていた同社の株価ですが、この日は一時、前日比130円安となる1274円まで下落し、下落率は9%にも達しています。終値こそ1304円まで戻しましたが、それでも東証1部の値下がり率ランキングで2位を記録するなど、投資家の間に動揺が走る一日となりました。

この急落の引き金となったのは、前日に同社が発表した「2019年12月期の連結純利益予想」の修正です。これまで株価は3月以降、ほぼ一本調子で上昇を続け、2019年06月25日には年初来高値となる1425円をつけていました。まさに絶好調に見えた矢先の出来事だけに、市場の反応は敏感でした。なぜ、これほどまでに売り注文が殺到したのでしょうか。その背景には、投資家たちの期待と現実のギャップが深く関係しています。

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失望売りの正体と業績予想のカラクリ

今回、サイボウズが発表した連結純利益の見通しは、3億8600万円から6億8600万円というレンジ(幅)を持たせたものでした。前期の実績が6億5300万円であったことを踏まえると、決して悪い数字ではありません。しかし、投資家が問題視したのは、従来予想の上限であった7億7300万円が、今回6億8600万円へと引き下げられた点です。上限がおよそ8700万円下方修正されたことで、「期待していたほどの爆発的な利益成長は見込めないのではないか」という懸念が一気に広がりました。

実は、サイボウズの主力である「kintone(キントーン)」をはじめとする法人向けクラウドサービスは極めて好調に推移しています。実際、2019年01月から03月期の純利益は前年同期比で31%も増加しており、04月以降も順調でした。そのため、市場の一部では「通期業績の大幅な上方修正」が確実視されていたのです。それだけに、今回の上限引き下げは、膨らんだ期待に対する「冷や水」となり、利益確定を急ぐ売り注文を誘発したといえるでしょう。

一方で、会社側は今回の修正について、決してネガティブなものではないと説明しています。利益予想の下限については、従来の数値から1300万円引き上げており、予測のレンジ幅を従来の4億円から3億円に縮小した結果だと強調しています。つまり、不確定要素が減り、より精度の高い見通しが出せるようになったとも解釈できます。しかし、SNSや投資家掲示板などでは、「成長鈍化のサインか?」「材料出尽くしで売るべきタイミング」といった悲観的な声も見られ、市場心理の悪化は避けられなかったようです。

PER110倍が示す「過熱感」と編集部の視点

ここで、私自身の編集者としての見解を述べさせていただきます。今回の急落は、業績そのものの悪化というよりも、株価の「過熱感」に対する調整局面という意味合いが強いと考えます。株式投資の指標の一つに、PER(株価収益率)というものがあります。これは「現在の株価が、企業の利益の何倍まで買われているか」を示すもので、数値が高いほど割高と判断されます。2019年06月27日の終値ベースで、サイボウズの予想PERはなんと110倍台に達していました。

一般的な日本株のPERが15倍程度とされる中で、110倍という数字は、投資家からの期待が異常なほど高いことを示しています。「将来ものすごく成長するはずだ」という期待値が、現在の実力以上に株価を押し上げていたのです。そのため、今回のように少しでも期待を下回るニュースが出ると、一気に「割高だ」という意識が働き、売りが売りを呼ぶ展開になりやすいのです。

今後の展開ですが、しばらくは上値の重い状況が続くでしょう。これだけ急激に株価が上昇してきた反動で、利益を確定させたい投資家の売り圧力は依然として残っています。しかし、サイボウズが展開するクラウド事業自体は、時代の潮流に乗っており、国内事業の売上も堅調です。目先の株価変動に一喜一憂するのではなく、同社が今後どのように利益率を改善し、実態として成長していくのかを冷静に見守る必要があると私は考えます。

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