2019年06月30日の午後、大阪の街を覆っていた厳戒態勢がついに解かれました。世界中の注目を集めた「G20大阪サミット」の閉幕に伴い、数日間にわたって実施されていた阪神高速道路などの大規模な交通規制が解除されたのです。大阪府警の発表によると、サミット期間を含む2019年06月27日から30日までの間、大阪市内の交通量はなんと通常と比べて「51%」も減少したとのこと。目標として掲げていた「半減」を見事に達成した形となります。市民生活への多大な影響が懸念されていただけに、この結果は驚くべき成果といえるのではないでしょうか。
大阪城に近い法円坂の入り口でも、2019年06月30日の午後1時半ごろ、警察官たちが封鎖を解除する姿が見られました。大阪市内では通常、一般道だけで1日に約86万台もの車が行き交います。しかし今回の規制期間中は、その数が劇的に抑えられました。内訳を見てみると、規制初日の27日には約57%減、28日は約52%減と、当初の呼びかけがしっかりと浸透していたことが分かります。週末に入った29日、30日も4割以上の減少を維持しており、まさに官民が一体となって作り上げた「静寂」だったのです。
SNS上では、この異例の光景に対して多くの反響が寄せられています。「御堂筋がガラガラで映画のセットみたい」「阪神高速に車が一台もいないなんて、まるで異世界だ」といった驚きの声が相次ぎました。また、タクシー運転手の方々からも「予想以上に道が空いていて走りやすかった」という感想が漏れるほどです。ちなみに「G20」とは、主要20カ国・地域の首脳が集まって世界経済などを話し合う国際会議のことですが、これだけの要人が一堂に会する警備の裏側で、私たちの街の風景が一変していたことは記憶に新しく刻まれました。
この成功の背景には、府警による徹底した広報戦略がありました。なんとYouTubeなどに公開された府警の啓発動画は、再生回数が230万回を超えるバズりを見せたのです。2018年の秋ごろから経済界と連携し、宅配便の抑制や営業車の利用自粛を粘り強く要請してきた努力が実を結びました。「蓋を開けてみるまでは分からない」と不安を吐露していた府警幹部も、大きな混乱なくサミットを終えられたことに胸をなでおろしていることでしょう。
東京五輪へ向けた課題と未来への教訓
しかし、すべてが手放しで称賛できるわけではありません。課題も浮き彫りになりました。各国の首脳らの動きが直前まで確定しないため、規制解除の時間が事前の告知より遅れたり、迂回路の案内が不十分だったりするケースが発生しています。「予定時刻を過ぎても通れない」「現場での説明が足りない」といった苦情が府警に寄せられたのも事実です。市民生活を制限する以上、リアルタイムで正確な情報をどう届けるかは、今後の大きな検討材料となるでしょう。
この経験は、目前に迫ったビッグイベントへの重要な試金石となります。2019年09月に開幕するラグビーワールドカップ、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックです。特に東京五輪では交通量を15%削減する目標が掲げられており、今回の大阪での「マイカー自粛」や「企業の協力」という実績は、間違いなく東京大会の参考になるはずです。テレワークの推進や休暇の取得など、働き方の変革も含めた交通対策が、首都圏でも求められることになるでしょう。
私自身、一人のメディア編集者として今回の出来事を振り返ると、強制力のない「要請」だけでこれほど市民が動いたという事実に、日本人の公共心の高さを改めて感じずにはいられません。経済活動を一時的に止めてでも、国際的なイベントを成功させようという協力姿勢は誇るべきものです。一方で、物流や移動の制限が経済に与えるダメージも無視できません。今後は、市民の善意に頼るだけでなく、テクノロジーを活用したより効率的な交通分散システムが必要になってくるのではないでしょうか。
吉村洋文大阪府知事や松井一郎大阪市長も、2019年06月30日の会見で「府民・市民の協力のおかげ」と感謝の意を述べています。この成功体験は、2025年に控える大阪・関西万博や、誘致を目指す統合型リゾート施設(IR)の整備にもつながっていくはずです。一時の不便を乗り越え、国際都市としての格を一段上げた大阪。この経験をただの思い出にせず、次なる社会インフラの在り方を考えるきっかけにしていきたいものです。
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