国内の電力市場における競争激化は、各電力会社にとって喫緊の課題となっています。そうした厳しい環境の中、中国電力は2019年5月31日に、四国電力と共同でミャンマー連邦共和国における天然ガス火力発電事業に参画すると公表しました。これは、両社にとってミャンマーでの初めての発電事業への取り組みであり、海外での収益基盤を確実にしたいという強い意志がうかがえますね。
今回、両社が関与するのは、ミャンマー中部のヤンゴン管区にある「アーロン火力発電所」です。この発電所は、出力が12.1万キロワットという規模を誇っており、既に2013年4月から商業運転を開始している稼働中の施設となります。発電された電力は、ミャンマーの国営電力会社へ販売されており、その売電契約は2043年5月までという長期にわたるもので、安定した収益が見込めるでしょう。
具体的な参画方法としては、発電事業を運営する事業者の持ち株会社の株式を、海外に設立した子会社を通じて取得するという形が取られています。中国電力と四国電力は、それぞれ28.5パーセントずつ株式を取得する予定です。取得額は非公表とされていますが、海外での実績を積み重ねる中国電力にとっては、この案件で6件目の海外発電事業への参入となります。これまでに培ってきた電力需要の予測技術や、発電所運営に関する専門的な知見(ノウハウ)を存分に活かせるはずです。
このニュースが公開された直後、SNS上では「国内での経営が厳しい中、海外展開は当然の流れだろう」「安定収益が見込めそうな案件で、株主としては安心できる」といった、前向きな反応が多く見受けられました。一方で、「海外事業にはカントリーリスク(投資先の政治・経済・社会情勢などの変動により、予期せぬ損害を被るリスク)がつきものなので、慎重な事業展開を期待したい」といった、リスク管理を求める意見もありました。しかし、電力会社が国内に留まらず、海外に活路を見出す姿勢は、持続的な成長には不可欠だと筆者は考えています。
特に、今回の事業の中心である天然ガス火力発電は、石炭火力発電に比べて二酸化炭素の排出量が少ないという特徴があり、環境への配慮という観点からも評価できるポイントです。エネルギー需要が伸び続ける東南アジアにおいて、安定した電力供給に貢献しつつ、自社の収益源を確保するという両社の戦略は、非常に理にかなったものだと言えるでしょう。これから、中国電力と四国電力がミャンマーの電力インフラ発展にどのように貢献し、その成果を国内の事業へ還元していくのか、注目していきたいところです。
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