世界の投資マネーが熱視線を送るニュースが飛び込んできました。2019年06月01日、シンガポールの政府系ファンド、テマセク・ホールディングスが、日本の投資家と手を組み、総額7億7000万ドル(約850億円)規模のベンチャーファンドを設立することが明らかになったのです。運用資産額が約24兆5000億円にも達する世界屈指の「巨象」が、日本企業を巻き込んでどのような化学反応を起こそうとしているのか、その全貌に迫ります。
今回のスキームは、テマセク傘下の「バーテックス・ベンチャー・ホールディングス」が新設するファンドに対し、日本側がその2割にあたる1億5400万ドルを拠出するというものです。すでにリサ・パートナーズやあおぞら銀行が名乗りを上げており、9月の最終期限に向けてさらなる国内機関投資家の参画が見込まれています。これは単なる資金提供にとどまらず、日本企業がグローバルなスタートアップの成長を取り込む絶好のチャンスと言えるでしょう。
「デカコーン」を生んだ目利き力と用語解説
そもそも、バーテックスという会社の実力はどれほどのものなのでしょうか。彼らはシリコンバレーや上海、イスラエルといったイノベーションの最前線に拠点を構え、直近のファンドでは年平均利回り20%超という驚異的な数字を叩き出しています。その「目利き力」を象徴するのが、東南アジアで圧倒的なシェアを誇る配車サービス「グラブ」への初期投資です。
ここで、今回のニュースを読み解く上で重要なキーワードについて解説しましょう。「ユニコーン」とは、企業価値が10億ドル(約1100億円)を超える未上場の新興企業のことを指します。伝説の生き物のように希少であることから名付けられました。さらに、グラブのように企業価値が100億ドル(約1兆1000億円)を超えた超巨大スタートアップは「デカコーン」と呼ばれています。今回の新ファンドは、まさに「次のグラブ」となるような金の卵を発掘しようとしているのです。
日本企業の「技術」と世界の「革新」を融合
テマセクが日本企業と手を組む理由は明確です。米国や中国、インドのスタートアップは、AI(人工知能)やビッグデータなどの特定分野で尖った技術を持っていますが、顧客基盤や周辺技術が不足しているケースが少なくありません。一方で日本企業は、成熟した高い技術力や強固な顧客網を持っていますが、最新のデジタルトレンドに乗り切れていない現状があります。この両者をマッチングさせることで、互いの弱点を補い合い、爆発的な相乗効果を生み出そうという戦略なのです。
私自身、この動きは日本経済にとって非常にポジティブな刺激になると感じています。自前主義にこだわりがちな日本企業が、テマセクという強力なナビゲーターを得て、世界の最先端技術を自社のビジネスモデルに取り込むことができれば、停滞感を打破する起爆剤になり得るからです。単に投資リターンを得るだけでなく、オープンイノベーションの実践の場として、このファンドが機能することを期待せずにはいられません。
SNS上でも、この巨大ファンド設立のニュースに対して、早くも多くの反響が寄せられています。「テマセクのネットワークに乗れるのはデカい」「日本の大企業もようやく重い腰を上げて海外ベンチャーとの連携に本腰を入れるか」「グラブを見出したバーテックスの目利きなら期待大」といった、期待と興奮が入り混じった声が聞かれます。世界を舞台にした新たなイノベーションの誕生に、今後も注目が集まることでしょう。

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