私たちの暮らしに欠かせない税金の手続きが、いよいよ大きな転換期を迎えようとしています。国税庁は2019年07月06日、これまで書面での提出が一般的だった相続税の申告について、同年10月からインターネット経由で手続きができる「e-Tax(イータックス)」の利用を開始すると発表しました。所得税や贈与税に続き、相続税もデジタル化の波に乗ることで、個人の国税に関する主要な手続きがほぼオンラインで完結する体制が整います。
今回、2019年10月から受付が開始される対象は、同年01月01日以降に発生した相続に限定されています。相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から数えて10カ月以内と定められているため、例えば01月20日に相続が開始したケースでは、11月20日が提出期限となります。10月のシステム稼働により、こうした秋以降に期限を迎える方々が、自宅のパソコンから手軽に申告書を送信できるようになるのは非常に画期的な出来事だといえるでしょう。
SNS上では今回の発表に対し、「やっと相続税もネットで出せるようになるのか」「あの膨大な書類を郵送する手間が省けるのは助かる」といった歓迎の声が目立っています。一方で、相続税は計算が極めて複雑であるため、「システムがあっても素人が自分でやるのは難しそう」といった懸念の声も上がっており、利便性の向上と実務的なハードルの高さの両面に注目が集まっています。デジタル化への期待は、かつてないほど高まっている状況です。
相続税申告の効率化がもたらす変化と専門用語の解説
具体的な手続きの流れとしては、国税庁のホームページから専用のソフトをダウンロードし、申告書を作成した上で電子証明書を添付して送信する形となります。ここで重要となるのが、これまで紙での提出が必須だった「戸籍謄本」などの添付書類です。これらもPDF形式によるデータ送信が可能になるため、厚みのある封筒を用意して郵便局へ足を運ぶ必要がなくなります。事務作業の大幅なスリム化が期待できるでしょう。
ここで「e-Tax」という言葉について詳しく解説します。これは、インターネットを利用して申告や納税を電子的に行うシステムのことです。また、税制改正によって2015年01月01日から適用されている「基礎控除の縮小」にも触れておく必要があります。基礎控除とは、相続財産のうち税金がかからない枠のことですが、これが大幅に減らされたことで、以前は4%程度だった納税対象者の割合が8%台へと倍増し、申告が必要な人が急増しています。
現状、相続税の申告はその専門性の高さから、8割以上が税理士によって代理で行われています。不動産の評価額算出などは非常に難易度が高いため、所得税の確定申告のようにシステムが自動で入力をガイドしてくれる機能は、今回の相続税e-Taxには搭載されません。そのため、個人で挑戦するには一定の知識が求められるでしょう。しかし、それでも手書きの負担から解放されるメリットは大きく、徐々に普及していくものと推察されます。
編集者の視点としては、今回の電子申告導入は、単なる手間の削減以上に「心理的なハードル」を下げる効果があると感じています。相続というデリケートな場面で、山のような書類と格闘するのは心身ともに疲弊するものです。完全な自動化とまではいきませんが、デジタルという選択肢が増えることで、納税者がよりスムーズに義務を果たせる環境が整うことは、透明性の高い税務行政にとっても大きな一歩となるに違いありません。
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