🔥【スポーツ内科】アスリートの「原石」を潰すな!激しい練習で貧血・無月経に悩む若手選手を救う専門分野の設立

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に控え、日本国内のスポーツへの関心は一層の高まりを見せています。しかし、その陰で、才能ある若手アスリートたちが激しすぎる練習によって心身の不調に見舞われ、志半ばで競技を断念するという深刻な問題も顕在化しているのです。

こうした状況に対応するため、若手医師らが中心となり、2019年3月に「日本スポーツ内科学会」が発足しました。これまでスポーツの現場では、骨折や捻挫といった「ケガ」に対する外科的な治療が優先されがちでしたが、実は、貧血や無月経、うつ病といった「内科系」の疾患は軽視され、放置される傾向にありました。特に10代の成長期にある選手に多く見られるこれらの不調に対処し、将来有望な「ダイヤの原石」を救い出すことが、同学会の大きな使命となっています。

同学会代表の田中祐貴医師は、「本来持っている実力を発揮できないまま、競技生活を諦めてしまう若者をなくしたい」と熱意を込めて語っています。この取り組みは、SNS上でも「内科的なサポートは本当に重要」「若い選手が無理をしすぎない環境作りが必要」といった共感の声が多く寄せられており、アスリート育成における新たな視点として大きな注目を集めていると言えるでしょう。

スポンサーリンク

「スランプ」の正体は深刻な病気かも?

激しい運動による体調不良は、ときに「スランプ」と誤認され、選手を追い詰めてしまうケースがあります。例えば、大阪市に住むある高校1年生の男子生徒は、中学時代から陸上競技の長距離走で自己記録を更新し続け、名門高校へ進学しました。しかし、夏頃から急な息切れが目立つようになり、以前のように走れなくなったのです。彼はこれをスランプだと考え、さらに練習に打ち込みましたが、記録は全く伸びませんでした。

不安を抱えた彼は、市内の病院で田中医師の診察を受けました。その結果、判明したのは、運動選手に非常に多い「スポーツ貧血」でした。これは、激しい運動によって鉄分が不足することで起こる貧血のことで、特に筋肉の成長に多くの鉄分が必要となる成長期の選手や、汗と共に鉄分が失われやすい環境下で発症しやすくなります。この男子生徒の場合、過度な自主練習や睡眠不足などが原因と特定されました。

田中医師は、鉄剤の処方と並行して、栄養指導を中心とした治療を進めました。鉄分は過剰に摂取すると内臓に障害を引き起こす恐れがあるため、鉄剤注射は用いず、あくまで食事や内服薬による慎重な管理が基本です。治療開始からわずか3週間で症状は改善し、彼の陸上競技の記録も再び向上し始めました。適切な医療介入によって、その才能が再び輝きを取り戻したことは、スポーツ内科の重要性を証明する好例です。

パフォーマンスを低下させる内科系疾患

スポーツ内科が扱う症状は、貧血だけにとどまりません。例えば、オーバートレーニング症候群は、長期にわたる過剰な練習によって運動機能が低下し、疲労が回復しにくくなる状態を指します。これは身体的な疲弊だけでなく、精神的なストレスからうつ病を併発することも少なくありません。また、運動中に喘息(ぜんそく)のような症状が出る運動誘発性ぜんそくも専門分野の一つです。日本国内では、陸上選手の3パーセントから5パーセントがこの症状を発症しているという報告もあるほどです。

特に女子選手には、特有の深刻な問題があります。無月経は、体重を気にしすぎるあまり必要なエネルギー量を摂取しないことで生じることがあります。月経が止まると、若い世代であっても骨粗しょう症、つまり骨がもろくなる病気になってしまうリスクが高まるのです。2015年の日本産科婦人科学会などの調査では、大学生の女子選手のうち、陸上長距離などの持久系競技に取り組む選手では21.7パーセントが無月経を、そして約半数が疲労骨折を経験していたという驚くべきデータが示されています。これは、指導者や保護者が認識すべき、非常に高い割合と言えるでしょう。

アスリートを守るスポーツ内科医のネットワーク構築へ

このようなスポーツに伴う内科系の疾患に対する認識は、日本代表クラスやプロの選手の間では浸透しつつありますが、中学・高校生といったジュニア世代においては、残念ながら指導者を含め、まだ十分に広まっていません。この現状に危機感を覚えた田中医師は、学会の活動の一環として、2019年4月から月2回のペースで全国各地を巡り、講習会を開催されています。

さらに、日本スポーツ内科学会は、東京オリンピック後を目途に、学会認定資格の創設を目指しています。これは、専門知識を持つスポーツ内科医を増やし、質の高い医療を全国で提供できるようにするための重要な一歩です。田中医師は、「将来的に、全国にスポーツ内科医のネットワークを構築したい」と力強く抱負を述べており、この新たな取り組みが、未来のトップアスリートを支える盤石な土台となることを期待せずにはいられません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました