大手住宅メーカーである大和ハウス工業が、2019年6月3日、一連の不祥事の責任を明確にするため、取締役の賞与を大幅に減額する方針を打ち出しました。この決定は、同社が抱える不適切な賃貸アパート・戸建て住宅の建設問題と、中国のグループ会社における巨額な資金流出という、二つの重大な問題に対する経営陣の意思表示と言えるでしょう。
具体的には、社外取締役を除く16名の取締役に対して支給される2019年度の賞与総額を、当初予定していた10億4500万円から約2割にあたる2億900万円を減額し、8億3600万円とする見通しです。この議案は2019年6月25日の定時株主総会に諮られる予定となっており、また、執行役員の報酬についても、一律で当初予定額から1割削減することが合わせて発表されました。
特に国内での不適切住宅問題については、2019年5月31日に外部調査委員会から中間報告を受け取ったことを公表しています。この報告では、一部の設計責任者が違法性を認識していたことが指摘されており、企業の根幹を揺るがす深刻な事態であることが判明しました。ここで言う「不適切住宅」とは、建築基準法に基づきあらかじめ国から型式適合認定を受けた仕様に、実際の建物が合致していない設計や施工がされていた物件を指します。型式適合認定とは、特定の構造や工法が法律の基準を満たしていると国土交通大臣が認める制度であり、これを受けると個別の建築確認審査が簡略化されるため、住宅メーカーが大量生産を行う上で重要な仕組みとなっているのです。この認定仕様からの逸脱が、まさに問題の核心となっています。
この一連の報道を受け、SNS上では「やはり経営陣の責任は重い」「賞与カットは当然だが、それだけで済む問題ではない」「中国での横領事件と国内の施工不良が同時期に明るみに出るのは、ガバナンス(企業統治)の欠如ではないか」といった、企業の体質や今後の信頼回復に向けた厳しい意見が多数見受けられました。消費者の住宅に対する信頼は極めて重要ですから、今回の不祥事によって、住宅業界全体への不信感が広がることへの懸念を示す声もありました。経営陣による報酬の減額は、まずは形として責任を示すものですが、企業の信頼を取り戻すには、これに続く実効性のある再発防止策が不可欠だと私は考えます。
外部調査委員会は、不適合の原因として、本社の商品開発部門と各事業所とのコミュニケーション不足、そして型式適合認定制度に対する設計者や現場の理解不足などを指摘しているようです。この中間報告を受け、委員会は2019年6月中には、詳細な原因究明と再発防止策を含めた最終報告書を取りまとめる予定となっています。大和ハウス工業としては、この最終報告書に基づき、どのように企業風土を改革し、法令順守体制を再構築できるかが、今後の企業存続の鍵を握っていると言えるでしょう。
今回の役員賞与減額の決定は、自社の過ちに対する責任の一端を示したに過ぎません。住宅メーカーとして最も重視すべき「安全」と「信頼」を損なったことへの反省を深く胸に刻み、単なる一時的な措置ではなく、経営体制の根本的な改善を断行していく強い姿勢が、今、改めて問われていると言っても過言ではないでしょう。
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