👵認知症の親の「もしも」に備える!個人賠償責任保険で他人への損害を補償、別居でも安心できる最新トレンド解説

近年、高齢化が進む日本において、認知症と診断されたご家族の万が一の事態に対する備えは、多くの方が抱える大きな関心事となっています。特に、認知症のご高齢者が誤って他人に損害を与えてしまった場合、その法律上の損害賠償責任を誰が負うのかという問題は深刻です。ここで役立つのが、個人賠償責任保険という保険商品なのです。

この個人賠償責任保険は、ご自身やご家族が日常生活を送る中で、不注意で他人に怪我をさせてしまったり、他人の物を壊してしまったりした際に、発生した損害賠償金を保険会社が支払ってくれる仕組みです。しかし、自動車事故による賠償は対象外となりますのでご注意ください。かつては単独の商品として販売されていましたが、現在では自動車保険や火災保険といった既存の保険に特約としてセットで契約するのが一般的だと、ファイナンシャルプランナーの平野敦之氏はおっしゃっています。

この保険の補償内容は、かつてはどこの損害保険会社でもほぼ一律でしたが、ここ数年で取り扱う商品や会社によって差が広がりつつあります。そのため、「他人にどのような迷惑をかけるリスクがあるか」など、ご自身の状況やご家族の事情をしっかりと考慮し、商品を選ぶことが非常に重要になっています。特に重要な比較ポイントは、保険金額と補償の対象となる家族の範囲の二点でしょう。

保険金額については、国内での事故に限り無制限で補償される商品もあれば、1億円以下を上限とする商品も多く見られます。同じ損害保険会社の商品であっても、自動車保険の特約なら無制限、火災保険の特約なら上限1億円といった違いがあるケースが目立っている状況です。皆様の安心感を高めるためには、万全な補償額を選択したいところです。

次に、補償の対象となる家族の範囲について詳しく見ていきましょう。従来の保険では、契約者本人に加え、「同居する家族」や「別居している未婚の子」が対象者となるのが一般的でした。しかし、この常識が変わる大きなきっかけとなったのが、2007年(平成19年)に発生した、認知症の高齢男性が線路内に立ち入って電車にはねられ死亡した事故です。

この痛ましい事故では、鉄道会社が電車の遅延によって生じた損害の賠償を求めてご遺族を提訴したことから、社会的な関心が集まりました(最終的に最高裁は2016年(平成28年)に、このご遺族に賠償責任はないとの判決を下しています)。この事例を契機に、たとえ別居していたり、既婚者であったりしても、認知症などで責任能力がない親が起こした事故で子が代わりに賠償する場合に、その親を補償対象に含めるのが、今や一般的な傾向になっています。例えば、日本生命保険とあいおいニッセイ同和損害保険が2018年(平成30年)に発売した商品「まるごとマモル」は、認知症であるかどうかにかかわらず、別居している親を補償対象に含める画期的な取り組みを見せました。

また、先述の電車事故を受けて、事故の補償範囲を見直す動きも活発化しています。従来の個人賠償責任保険は「物損」、つまり車両や設備などが物理的に壊れた場合を条件とするケースが多く、単に電車の運行が遅延し、振替輸送の費用などがかかった損害についてはカバーできない問題がありました。これに対し、東京海上日動火災保険は2019年(平成31年)1月(※)、物損がない電車遅延損害も補償対象に加える改定を行いました。前述の「まるごとマモル」も電車遅延を対象に含めています。しかしながら、依然として「物損」が条件となっている商品も多いため、契約時には細心の注意が必要です。(※当時の報道に基づき執筆しています。)

この認知症リスクへの対応強化という業界のトレンドは、私たち保険の専門家から見ても、非常に意義深い進展だと感じています。高齢化社会という時代の流れの中で、家族の形態や責任の所在が変化している現状を保険がしっかりと受け止め、適切なセーフティネットを提供しようとしている表れでしょう。特に、別居している親御様を補償対象に含めるという動きは、現代の家族構成の実態に即した、心から歓迎すべき変化だと断言できます。

ファイナンシャルプランナーの平野氏は、「個人賠償責任保険にきちんと加入しているかどうかを、人生の節目ごとに確認してほしい」と助言しています。特に、高齢になって自動車を手放し、自動車保険を解約した場合、その特約として付帯していた個人賠償責任保険の補償も失われることになります。このような場合は、特約付きの傷害保険など、別の形で個人賠償責任保険に加入することを検討する必要があるでしょう。また、家の住み替えなどで火災保険を見直す際にも、この重要な特約が外れてしまわないよう、必ず確認することをおすすめいたします。

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