日本の小売業界に激震が走りました。大手流通グループのイオンは、2020年1月10日に驚きのトップ人事を発表したのです。これまで23年もの長きにわたり経営を牽引してきた創業家出身の岡田元也社長が退き、2020年3月1日付で吉田昭夫副社長が新たな社長に昇格することになりました。
岡田社長の功績は計り知れません。在任中に積極的な出店や、ダイエーをはじめとする積極的なM&A(企業の合併・買収)を敢行しました。その結果、2019年2月期の連結売上高は8兆5182億円に達し、就任当初から約4倍という日本最大の小売企業へ育て上げたのです。
しかし、その一方で「巨艦」となった組織には影も落としています。会見で岡田社長自らが「大きくなりすぎて、チャンスの浪費や決断の遅れがあった」と吐露したように、意思決定に時間がかかる大企業病の課題が浮き彫りになっていました。ネット上でも「イオンの巨大さは便利だけど、変化に疎い印象はあった」との声が漏れています。
特に遅れが指摘されていたのが、現代のビジネスに不可欠なデジタル化への対応です。イオンの全体売上におけるデジタル事業の割合は、わずか1%にとどまっていました。ネット通販の普及により、消費者の行動が大きく変わる中で、実店舗の強みに頼りすぎた面は否めません。
デジタル革命を率いる新リーダーの覚悟
そんな課題を打破すべく白羽の矢が立ったのが、次期社長の吉田昭夫氏です。吉田氏は商業施設「イオンモール」の開発を主導し、2019年3月からはグループのデジタル事業を統括してきた、まさに「デジタルの旗手」と呼ぶにふさわしい人物です。
吉田氏は、2019年11月に発表されたイギリスのネットスーパー大手「オカド」との業務提携を主導した実績を持ちます。オカドが持つ最先端のAIやロボットを駆使した物流システムを取り入れることで、これまでの遅れを一気に挽回しようとする姿勢が伺えます。
SNSではこのニュースに対し、「イオンが本気でデジタルシフトするなら期待大」「ネットスーパーがもっと便利になれば生活が変わる」といった前向きな反響が多く寄せられています。新社長への期待値は非常に高いと言えるでしょう。
吉田氏は会見で「オンラインと実店舗は対抗するものではない」と断言しました。これらがシームレス(境界線なくスムーズ)に繋がることで、リアルな店舗を持つ圧倒的な強みを活かせると確信しています。ネットとリアルの融合こそが、今後のイオンの武器になるのです。
激動の時代において、リーダーには予期せぬ事態を見据える予測力が求められます。巨大な組織の変革は容易ではありませんが、吉田新社長がどのような戦略で消費者を驚かせてくれるのか、今後の新生イオンの舵取りから目が離せません。
私は、今回の人事交代を大いに支持します。どれほど優れた企業であっても、過去の成功体験に縛られては生き残れません。リアル店舗のネットワークという最強の武器を持つイオンが、本気でデジタル化に舵を切る姿は、日本の小売業全体の未来を明るく照らす一歩になると確信しています。
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