すし店が熱視線!かつての王者「日本晴」が福井で復活し、業務用米の常識を変える

日本の食卓に欠かせないお米の世界で、今まさにドラマチックな「主役交代」の予感が漂っています。かつて1970年代に作付面積で全国トップを誇りながらも、時代の波に押されて姿を消しかけていた伝説の銘柄「日本晴(にっぽんばれ)」が、福井県で力強い復活を遂げているのです。

物語の中心にいるのは、福井県越前市のJA越前たけふです。彼らは2014年から「日本晴復活プロジェクト」を立ち上げ、眠っていたポテンシャルを掘り起こしてきました。2019年11月28日現在の状況を見ると、2019年産の作付け面積は690ヘクタールに達しており、プロジェクト開始当初からわずか6年で3倍を超える急成長を見せています。

かつて、お米の王様として君臨したコシヒカリの台頭により、日本晴は表舞台から遠ざかっていました。しかし今、あえてその「古き良き銘柄」に光を当てたのは、国内外での競争激化を見据えた戦略的な決断です。JA越前たけふの冨田隆組合長は、コシヒカリの真逆を行く独自の特性こそが、現代の市場で武器になると確信しています。

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すし職人も絶賛する「硬めの粒」がもたらす魔法

コシヒカリが「粘り・甘み・柔らかさ」を追求する一方で、日本晴の最大の特徴は「しっかりとした粒の硬さ」と「あっさりした味わい」にあります。一見すると欠点のようにも聞こえますが、実はこれが「すしのシャリ(酢飯)」や「丼もの」といったプロの料理において、最高のパフォーマンスを発揮するのです。

お寿司の世界で特に難しいとされるのが、握っても形が崩れず、口の中でハラリとほどける絶妙な硬さの維持です。通常、職人は複数のコメをブレンドしたり、古米を混ぜて調整したりしますが、どうしても品質にムラが出てしまいます。しかし、日本晴はそのままでも「ベタつかず、一粒一粒が独立している」ため、職人の理想を実現してくれます。

SNS上でも「最近のお寿司、お米が立っていて美味しい気がする」「あっさり系のお米のほうが、ネタの味が引き立つ」といった声が上がっており、過度な甘みを求めない層からの支持が広がっています。実際、関西の回転ずしチェーン「大起水産」では2015年から導入を進め、顧客から「すしがおいしくなった」と高い評価を得ているそうです。

世界を狙う「日本晴」が示す産地振興の新しいカタチ

さらに、この「あっさり系」の特性は海外市場でも大きな期待を背負っています。2020年には香港への出荷も予定されており、チャーハンやカレーなど、米自体に味を染み込ませる料理が多い海外食文化において、日本晴はコシヒカリ以上の適性を発揮すると期待されています。

私自身の見解としても、昨今の「高級ブランド米ブーム」による甘み競争に一石を投じるこの動きは、非常に理にかなっていると感じます。すべてのお米が主役(コシヒカリ系)である必要はなく、料理を引き立てる「名脇役」としての需要を突いた戦略は、他の農産物の産地振興にとっても大きなヒントになるのではないでしょうか。

JA越前たけふは、2022年産までに作付け面積を1000ヘクタールまで拡大し、主力であるコシヒカリに並ぶ規模を目指しています。現在、需要が供給を上回り、うれしい悲鳴を上げているという日本晴。かつての王者が「すし米の決定版」として、再び日本の、そして世界の食卓を彩る日はすぐそこまで来ています。

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