2019年12月08日、東京よみうりカントリークラブで幕を閉じた「日本シリーズJTカップ」において、石川遼選手が劇的な逆転優勝を果たしました。本大会の最終日、18番ホールからプレーオフ2ホール目に至るまで、ティーショットがグリーンを捉えられないという苦しい展開が続きました。石川選手自身も「3回続けて右に外すバカがいるか」と自嘲気味に振り返りましたが、その表情には勝負師としての凄みが宿っていたのです。
運命のプレーオフ3ホール目、カップの位置が奥へと切り直された勝負どころで、彼は勇気ある決断を下しました。手に馴染んだ5番アイアンから4番アイアンへとクラブを持ち替え、渾身の一打でピン左手前2.5メートルに1オンさせたのです。これを一撃で沈めた瞬間、昨年プレーオフで敗れた雪辱を見事に果たしました。両手を広げて万歳する姿に、会場は大歓声に包まれ、まさに有終の美を飾る1日となりました。
SNS上では「これぞスターの勝ち方」「最後まで諦めない姿勢に感動した」といった声が溢れ返っています。初日から続く「我慢のゴルフ」の末に掴み取った栄冠に対し、多くのファンが拍手を送りました。今回の勝利で、石川選手は国内男子ツアー史上最年少での生涯獲得賞金10億円突破という、驚異的な金字塔を打ち立てています。28歳という若さでの大台到達は、日本のゴルフ界に新たな歴史を刻む快挙といえるでしょう。
不調の闇を突き抜けた「攻めのゴルフ」とスイング改造の結実
今シーズンを振り返れば、石川選手にとってはまさに激動の1年でした。夏場に2勝を挙げ、秋の飛躍が期待されましたが、10月の「ZOZO選手権」では51位と沈黙し、11月には2週連続予選落ちという苦境に立たされました。ショットの修正ポイントが見えず、人知れず悩み抜いた日々が続いたのです。しかし、そんな逆境の中でも、彼は常にピンを攻め続ける「石川らしさ」を失うことはありませんでした。
今大会で彼が手応えを掴んだのは、タイガー・ウッズ選手の全盛期をイメージしたスイング改造です。アドレス(構え)時の前傾姿勢を、インパクト(球を打つ瞬間)まで維持し続けることで、身体の軸がブレない美しいスイングアーク(スイングの軌道)を描くよう試行錯誤を重ねてきました。寝ても覚めてもゴルフに没頭する彼だからこそ、ショットが乱れた後半戦を卓越したパッティングでカバーし、勝利を呼び込むことができたのです。
2010年以来となる年間3勝を記録してもなお、石川選手は満足していません。優勝直後であっても、ミスした18番のティーショットを反省するそのストイックな姿勢こそが、彼をさらなる高みへと押し上げる原動力でしょう。米ツアーへの再挑戦や海外メジャー制覇という、険しくも輝かしい山道を一歩ずつ登り続ける彼の挑戦を、私たちはこれからも全力で応援し、注視し続けるべきだと強く感じます。
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